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熟成バスクチーズケーキは「試作500回」 コロナ禍の巣ごもりが新ビジネスのアイデアに

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月16日 9時26分

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工場長の古川さんと(左が田和さん)(C)日刊ゲンダイ

ビースリー代表 田和充久さん(後編)

 ビジネスのチャンスはどこに転がっているか分からないものだ。

 とろける食感と濃厚な味わいが楽しめると評判の「熟成バスクチーズケーキ」。IT企業の社長でありながら、田和さんがチーズケーキ開発に乗り出したきっかけは、コロナ禍での苦境だった。

「もともと日本国内でのIT事業と並行して、東南アジアのタイで飲食店を展開していました。ところがコロナ禍で渡航が制限され、現地に行けなくなってしまったんです。このままでは事業が立ち行かなくなると危機感を覚えました」

 そんな中で目をつけたのが巣ごもり需要が高まっていたお取り寄せグルメだ。外出自粛が続く中、自宅で少しでもぜいたくな時間を楽しみたいというニーズに応えようと、スイーツ作りを思い立った。

「当時はみんな笑顔が少なくなっていました。だったら、食べて笑顔になれるおいしいものを届けたい。それも、子供がアレルギー体質なので、グルテンフリーのものを作りたいと考えたんです。なぜスイーツを? それは自分が大好きだからです(笑)」

 とはいえ、素人が最初からおいしいチーズケーキなど作れるはずがない。試しに作ってみたが、とても客に出せるレベルのものではなかった。そこで友人のパティシエから基本のレシピを教わることに。そこから作ってはやり直しの連続。果たして本当においしいものができるのか、暗中模索の日々が続いた。

「プロのようにたくさんの種類を作るのは無理。でも一つのものを突き詰めれば、素人なりのやり方でプロ以上のものが作れるかもしれない。そう考えて、徹底的に試作を重ねることにしたんです」

素人だからこそ突き詰められた味作り

 田和氏と印刷業界出身の工場長が、手探りで味作りに励むこと実に500回。「500個焼いたことがある人はいても、500回試作した人はいないはず」と田和さんは胸を張る。小麦粉を使わずにしっかりとした食感を出すため、チーズの配合を何度も変えて焼き直した。

「プロの方からそんな方法はあり得ないと言われましたが、私たちは素人なので常識にとらわれずに自由に発想できた。それが熟成製法を思いつくヒントになりました。最初はどうなることかと不安でしたが、熟成することでチーズ本来のうまみや甘みが引き出され、想像以上においしくなっていく手応えを感じました。プロの味にもひけを取らないチーズケーキができたと自負しています」

 完成した「熟成バスクチーズケーキ」は、クラウドファンディングで2700%を超える支援を集め、大手通販グルメサイトでも上位に食い込む人気商品に。

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