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低栄養の負のスパイラルをつくらない…不可逆的な状態に至ることも【第一人者が教える 認知症のすべて】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月2日 9時26分

低栄養の負のスパイラルをつくらない…不可逆的な状態に至ることも【第一人者が教える 認知症のすべて】

高齢者は低栄養になりがち(C)日刊ゲンダイ

【第一人者が教える 認知症のすべて】

 高齢者ではさまざまな理由から、低栄養になりがちです。

 低栄養とは、日本老年医学会によると「摂取エネルギー不足、またはある種の栄養素の摂取不足により、健康上何らかの支障がある状態を低栄養といい、不十分な栄養摂取や不適切な栄養法に起因する慢性的エネルギー摂取不足をマラスムス(marasmus)、比較的急性で主としてタンパク質不足による低栄養状態をクワシオルコル(kwashiorkor)とよぶ」とされています。

 ただ実際は、主にエネルギー不足のマラスムスと、主にタンパク質不足のクワシオルコルの2つの型が混在していることが多く、エネルギー、タンパク質の両方が不足しています。

「さまざまな理由から」と冒頭で触れましたが、それらは身体的要因、社会的要因、精神的要因、その他の要因が絡み合っています。具体的には、加齢や持病などによる食欲不振、嚥下機能・咀嚼機能の低下、入れ歯が合わない、1人暮らしで買い物をしたり料理をしたりする気にならない、孤独感やうつ状態で食に関心が向かない、多剤服用が食欲減退につながっているなど、です。 

 各要因が影響し合い、負のスパイラルを形成します。加齢やその他による食欲不振で食事量が減少すれば、慢性的な低栄養につながり、筋肉量が減少し、基礎代謝が低下し、エネルギー消費が減って、食事量がより減少する。また、筋肉量の減少は活力低下も招き、身体機能低下による活動量が減少、エネルギー消費低下・食事量の減少を一層進行させます。

 日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作(食事、身だしなみ、トイレ、着替え、階段の上り下り、歩行など)をADLといいますが、このADLが低下すると、不可逆的な状態に至ってしまう可能性もあります。高齢者の低栄養は、気がついたらその状態が長期にわたり続いていた、ということもあり得ます。

「ご飯、ちゃんと食べている?」「食べているよ」で安心しない

 老親がいる場合は、低栄養になっていないか、常に気にかけていたい。特に両親のどちらかが亡くなり、1人暮らしになったようなケースでは、気持ちの落ち込みなどから、食事をする気持ちを失っているかもしれません。

「ご飯、ちゃんと食べている?」「食べているよ」といったやりとりだけで安心しない。子供に心配をかけまいとしてそう言っているだけかもしれませんし、「食べている」のその中身が、菓子パンやコンビニのおにぎりくらいということもあります。

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