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夏休みの移動はエコノミークラス症候群に要注意 わずか3時間の“缶詰め状態”が致死的な血栓を生む

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月7日 9時26分

 ポーランドでの代表戦を終えると、フランス経由で日本に帰国。そのフランス行きの機内はかなり狭く、荷物を足元に置いて窮屈だった。フランス到着までの3時間で、高原選手の場合は股関節の静脈に血栓ができてしまったという。

 3時間のフライトは国内旅行なら羽田-石垣島の移動に相当する。新幹線のぞみだと、東京-岡山がそれくらいで、国内旅行での“缶詰め状態”でも致死的血栓ができる可能性がある。より時間がかかる海外旅行はなおさらだろう。

 その高原選手はフランスの空港に着いたとき、股関節の血栓が肺に飛んだのか、左の胸の痛みを感じながらも受診するほどではなく、飛行機を乗り継いで帰国。その後、Jリーグで2試合に出場後、夜中の激痛をキッカケに肺塞栓症と診断されている。

 当時の高原選手といえば、アルゼンチンからJリーグに復帰した年で、MVPと得点王を獲得。だれもが認めるトップ選手の一人だった。しかも23歳の若さ。試合や練習で常に走り回るトップアスリートでも、たった3時間の窮屈生活が血栓を招くのだ。改めてその事実を知ると、ちょっと怖くなる。

「窮屈な場所の典型が飛行機のエコノミークラスで、長距離路線でじっとしていると到着した空港で肺塞栓症を起こすことがあるため、この病気はエコノミークラス症候群ともいわれます」

「トイレ問題」と「飲酒」が脱水を助長してしまう

 高原選手のケースはその通りだが、リスクが高い場所はほかにもあるという。

「電車は、飛行機のエコノミークラスよりゆったりしているとはいえ、窓側の席で降りるまでじっとしているのはよくありません。地震や水害などの被災地では、避難所や車中泊も同様です」

 新潟大医歯学総合研究科特任教授の榛沢和彦氏は2004年に発生した新潟県中越地震で被災者を診察したところ、車中泊をしていた人のうち3割に血栓が見つかったと報告している。以来、車中泊の危険性が認識されるようになり、能登半島地震でも肺塞栓症が災害関連死のリスクだ。

 動かないことのほかにも、血栓をできやすくする要因がある。

「脱水です。避難所生活では、トイレが不足するため、トイレを控えようと水を飲まないようにするため、脱水しやすい。脱水した状態で、何もすることがないからとじっとしていると、血流が悪くなって、血栓ができやすい。『動かない』と『脱水』が重なるのは、とても危険です」

 高原選手はその後、代表戦後の水分補給が不十分で、窮屈な状況が重なった。そのダブルパンチがよくなかったと報じられた。その点で、飛行機や電車の窓側に座った人が、通路側の人を気にして水分摂取を控えてトイレを我慢するのも、同様に肺塞栓症のリスクを高めることになる。

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