たばこを吸わない人の「肺がん」増加! 症状がないから大丈夫…と思ってはいけない
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月10日 9時26分
PM2・5をはじめとする大気汚染が肺のがん細胞の遺伝子異常を…(C)日刊ゲンダイ
肺がんを、喫煙者または受動喫煙者にリスクが高い病気だと思っていないか? 自分はたばこを吸わないから、身近に吸っている人もいないから、発症するはずがないと──。実は今、たばことは強く関連しない肺がんが増えている。
◇ ◇ ◇
「肺がんの患者数は右肩上がりに増えています。一方で、喫煙者は減っている。これは、たばこが原因でない肺がんが増えていることを意味します」
こう指摘するのは、中部国際医療センター(岐阜県)で最先端の技術を用いた肺がん治療を行っている樋田豊明医師(肺がん治療センター長・呼吸器内科部長)だ。
表を見てほしい。肺がんは「組織型」というがんの種類の分類法で腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんの4つに分かれ、発生しやすい部位や特徴がそれぞれ異なる。
「4つの分類のうち、喫煙との関連が強いのが扁平上皮がんと小細胞がんです。喫煙率の減少によって、扁平上皮がんと小細胞がんは減っています。そして、喫煙とはそう関連が強くない腺がんが急激に増えているのです。腺がんの発症理由ははっきりとわかっていません。ただ、PM2.5をはじめとする大気汚染が肺のがん細胞の遺伝子異常を起こすことを示唆するデータが複数出ています」(樋田医師=以下同)
たばこが身近ではない生活を送っていると、「肺がんにはかかるはずがない」と考えがち。しかし、もし大気汚染が肺がん発生に関係しているなら、過剰に心配する必要はないものの、だれでもリスクがあると言える。
早期発見の唯一の方法
「肺がんの自覚症状として咳、血痰、息切れ、痛み、だるさなどが挙げられます。ただ、これらは肺がんに特徴的な症状ではありません。そもそも、肺がんは無症状の場合が多い。症状がなくても全く大丈夫ではないのです。肺がんはステージⅣで発見される患者さんが珍しくなく、それは自覚症状がないまま病状が進行してしまうから。早期発見のためには、たばこを吸っている人はもちろん、吸わなくても、検査を受けることを強くお勧めします」
健康診断で行われる胸部X線検査や喀痰細胞診、市町村で実施している肺がん集団検診を利用するといい。肺がん集団検診は男女とも40歳以上が対象で、毎年1回実施されている。
そして重要なのは、「要精密検査」となったら、「症状がないから」「たばこを吸わないから」と放置しないことだ。
国立がん研究センターがん対策研究所の発表では、肺がん検診で要精密検査と判定された人の精密検査の受診率は83.8%。20%弱が放置している。
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