1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「緑茶王国」静岡の生き残り戦略…海外展開に明るい兆し、1本2万円超の高級ボトル茶も話題に

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月11日 9時26分

「緑茶王国」静岡の生き残り戦略…海外展開に明るい兆し、1本2万円超の高級ボトル茶も話題に

美しい茶畑の香りは現地に行かないとわからない(提供写真)

 日本が誇る緑茶は、世界的な日本食ブームやヘルシー志向などが相まって輸出量は大幅に伸びている。しかし、国内需要はコーヒーに取って代わられ、右肩下がり。生産量は1975年の10万5000トンをピークに、2022年は約3割減の約7万8000トン。栽培面積も約3万ヘクタールに半減したほか、茶農家は約10万戸で59年のピーク時から10分の1以下だ。厳しい状況をバネに、頑張っている茶農家もある。

  ◇  ◇  ◇

 緑茶の産地として知られる静岡県島田市は7月2~8日、JR東京駅で「推し活は茶畑で。」を開催した。「島田市緑茶化計画」のオリジナルブランドである7種の緑茶や緑茶ハイ、7種の緑茶ソフトクリーム、7種の緑茶パフェなどから、“推し緑茶”との出合いを提供するイベントで、地元の銘菓や酒なども展示販売し、緑茶を中心に島田市をPRしていた。

 そこでお茶を販売していたのが、お茶農家の前川亜希子さん(45)だ。元々は夫とともにデザイナーをしていて、東京と島田との2拠点生活を続けていた。そんな生活を見直すキッカケになったのが、2020年から急速に広がった新型コロナウイルスで、2年前に島田市川根町笹間に移住したという。

「笹間の景色と人がとにかく気に入りました。中でも家から見える茶畑の景色がとてもキレイで。茶畑は自然の恵みでもあり、農家の方が美しく整備した努力の結晶でもあります。そうやって育まれた茶畑が新茶の時季を迎えると、なんともいえない、いい香りがするんです。だけど、後継者がいなくて茶畑をやめてしまう人が多いのも事実。『やめないでください』と農家の方に伝えたら『じゃあやれ』と言われてしまって(笑)」

 もちろん、前川さんに茶農家の経験はない。それでも茶畑を引き継ぐにあたり、元の先輩農家のサポートを受けながら、この2年で何とか形になってきたそうだ。

生産量は2位鹿児島と拮抗も、栽培面積は圧倒

 さて、静岡は言わずと知れた緑茶王国。昨年の作物統計によると、荒茶生産量は2万7200トンで日本一。最近、生産量を伸ばしている鹿児島が2位で、その差は1100トンに迫っているが、茶王国の意地を見せた格好だ。3位三重県とは2万トン以上の開きがある。

 そんな茶王国の中で指折りの産地が牧之原市と島田市だ。両市の生産量(09年)はそれぞれ5770トン、5340トン。県内の2大産地としてシノギをけずっている。大井川流域と牧之原台地を含む立地が両地域の茶産地としての優位性だ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください