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都知事選は現職負けなし13連勝。記録をさらに更新しましたって、本塁打トップのオータニさんかよ。(松尾潔)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月12日 9時26分

都知事選は現職負けなし13連勝。記録をさらに更新しましたって、本塁打トップのオータニさんかよ。(松尾潔)

3選を果たした小池知事(C)日刊ゲンダイ

【松尾潔のメロウな木曜日】#92

 小池百合子候補の圧勝という大方の予想通りの結果が出た東京都知事選だが、選挙戦ではいくつかの注目すべき動きがあった。紙面の許すかぎり記したい。

 まず、告示前からあれほどネットをにぎわせた小池候補の学歴詐称疑惑。しかも初めてじゃない。政治家になるために学歴は不要だが、詐称するマインドの主は首長にふさわしくないとぼくは思う。でも今回もそれが「不信任」の理由にはならなかった。先月ジュネーブで行われた国連人権理の「ビジネスと人権」部会報告では、ジャニーズ性加害問題が放置されてきた理由として日本特有の「文化」が指摘されたが、これもその理屈で説明できる。ずばり「不処罰の文化(culture of impunity)」。こなれた日本語にするなら「なあなあで済ませる」ですかね。

 告示日の日刊ゲンダイでぼくは「まだマシな人」と思える人に票を投じるのが首長選挙の本質だと記した。そのうえで、東京都の喫緊の課題は首長交代、そして「弱者に寄り添うこと」「弱者を生み出さないこと」だと考える自分は、蓮舫候補を選ぶと早い段階で決めた。

 選挙期間中は現職の優勢は圧倒的であることを何度も体感させられた。組織票だからズルい、とは小池候補以外の陣営から何度となく聞いた不満だが、それを言うなら蓮舫候補だって立憲民主と共産の組織票が頼みの綱であり、連合が組織票を差し出さないことに憤る支持者も多かったではないか。組織票を恨んだり、ましてやそんな有権者を軽蔑するなどあってはならないことだ。組織票の一票一票も間違いなく民意なのだ。それを認めないのは、旅慣れた人が「旅は個人旅行にかぎる」とパック旅行の利用者にマウントを取ろうとしているようで醜悪このうえない。旅は旅。一票は一票。綺麗事とお叱りを受けることを承知で言うが、この点を見誤るといつまでも勝てませんよね。

■〈ひとり街宣〉は未来につながる光

 未来につながる光もあった。蓮舫候補支持者のあいだで盛りあがった〈ひとり街宣〉のことです。必要なものは紙切れ1枚。それだけ。「革命の武器」というにはあまりに安全で平和で安価で軽量。「民主主義のツール」という表現こそふさわしい。

 あとは路上に立つ勇気。不要なものは羞恥心。何度か街中で見かけたけれど、その軽やかさはぼくの目にたいへん好ましく映った。united individuals、日本語に訳せば「連帯する個人」だろうか。

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