1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

Mrs. GREEN APPLE「コロンブス」は何が問題だったのか? 映画で「奴隷制」を理解する(文/北島純)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月13日 9時26分

Mrs. GREEN APPLE「コロンブス」は何が問題だったのか? 映画で「奴隷制」を理解する(文/北島純)

(左から)Mrs.GREEN APPLEの藤澤涼架、大森元貴、若井滉斗(C)日刊ゲンダイ

 Mrs. GREEN APPLEのミュージックビデオ(MV)「コロンブス」が公開直後にお蔵入りになった。大森元貴ら3人のメンバーがコロンブス、ナポレオン、ベートーベンに仮装し、カリブ海を思わせる洋上の小島で類人猿とパーティーをするという内容だが、猿に人力車を引かせるシーンなどが「植民地支配」や「奴隷制」を想起させるという批判を浴びた。なぜ「奴隷制」が問題となるのか。ここでは「奴隷制」を取り上げた映画を紹介しよう。

 なんといっても定番は「ルーツ」だ。1977年公開時に全米で大ヒットしたテレビドラマ(全米視聴率歴代3位)で、日本でも放映されるや大反響を呼び「ルーツ=起源」という言葉を定着させた。主人公はアフリカ西部マンディンカ族の若者クンタ・キンテ。原作者アレックス・ヘイリーの祖先だ。18世紀後半、奴隷商人によって英領植民地バージニアのプランテーション(大規模農園)に売り飛ばされたクンタ・キンテは逃亡に失敗、足先を切り落とされるがマンディンカの戦士として誇りを失わない。その娘キジーと孫のチキン・ジョージら一族のサーガ(年代記)を描いた不朽の名作で、9時間46分の長尺だが、休日に一気に見たい(BD版がオススメ)。

 当時の黒人奴隷は人として扱われずモノ扱い。何をしようが所有者の自由とされ、凄惨な虐待を受けてもいた。そうした実態を描いた映画として衝撃を与えたのが、「ミクロの決死圏」や「トラ・トラ・トラ!」で有名なリチャード・フライシャー監督の映画「マンディンゴ」(1975年)。ルイジアナの農場が舞台だが、屈強なマンディンゴを商品として「繁殖」させる「奴隷牧場」が実態で、おぞましい非人道的な描写が続く。クエンティン・タランティーノ監督が2012年の映画「ジャンゴ 繋がれざる者」でオマージュを捧げたことで再評価された。「ジャンゴ」は黒人奴隷(ジェイミー・フォックス)が賞金稼ぎとなって妻を奪還する傑作映画で、タランティーノはアカデミー賞脚本賞、共演のクリストフ・ヴァルツが助演男優賞を獲得した。

■スピルバーグ監督が真正面から向き合った「アミスタッド」

 奴隷問題に正面から向き合った映画といえば、スピルバーグ監督の「アミスタッド」(1997年)も忘れられない。奴隷貿易のスペイン船で反乱を起こしたジャイモン・フンスーが刑事裁判にかけられるが、南北戦争前夜の国際政治に翻弄される。最高裁で被告人の弁護を行うのがアンソニー・ホプキンス演じる元大統領。ダメ親父かなと思いきや、独立宣言を引用して格調高く自由の尊さを訴える演説シーンは心を揺さぶる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください