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下町の洗濯屋の3代目娘が染み抜き剤で一発当てた秘策とは…宣伝費ゼロで年商5000万円!

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月15日 9時26分

下町の洗濯屋の3代目娘が染み抜き剤で一発当てた秘策とは…宣伝費ゼロで年商5000万円!

中小企業はもうける秘訣について語るハッシュの浅川ふみ社長(C)日刊ゲンダイ

【「もうけびと」に聞く金儲けの秘訣】

 浅川ふみ社長(株式会社ハッシュ)=前編

  ◇  ◇  ◇

 下町の小さなクリーニング店から、年商5000万円の洗剤メーカーに。そんな華麗なる転身を遂げたのが、ハッシュの浅川ふみさんだ。祖父の代から続く家業を継ぎながら、独自の染み抜き剤「スポッとる」を開発・販売し、一躍“もうけびと”となった。

「クリーニング業界は長らく右肩下がり。このままでは生き残れないと危機感を抱いていました」

 浅川さんが開発した「スポッとる」は、累計70万本以上を売り上げるヒット商品に。しかし、そこに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。

 浅川さんは小さい頃から店を継ぐことを決めており、20歳の若さで家業に従事。しかし、女性ということもあってか父親からは技術習得を許されず、集配の仕事に追いやられた。

「今思えば、それが転機でした。お客さまと直接やりとりする中で、生の声を聞くことができたんです」

 高級住宅街を回る中で、浅川さんは顧客の厳しい要求に直面した。

お客さんの苦情が開発の原動力に

「この染み落とせる? と聞かれれば、はい落ちますと何も考えずに答え、店に持ち帰っていました。しかし、父に“これは難しい”と言われ、お客さまに返品することに。結果、お客さまから叱責を受け、時には高額な弁償を強いられました」

 普通なら、染みは落ちないものと諦めるしかない。しかし浅川さんは、「だったら私が落としてやる! と。小さなクリーニング店が生き残る術でもあると思いました」。

 そこで浅川さんは、店に代々伝わる秘伝の染み抜き剤の改良に着手する。

「8年ほどかけて、ようやく納得できる方法にたどり着いたんです。ちなみに原料が8種類なので、後に販売会社の社名をハッシュとしました」

 実際の洗濯物で試してみると、面白いほど染みが取れた。客の評判も上々。「だったら売ってみよう」と考えた浅川さんだったが、課題は販路の確保だった。大手小売店へ営業するも「そういうのはたくさんあるから」と門前払い。「使ってくれれば良さが分かるのに……」と一時は途方に暮れた。そんな時、浮かんだのがECサイトの活用だった。

「楽天市場に出店したのが2011年です。最初は月に数千円程度の売り上げでしたが、広告戦略を活用することで徐々に認知度が上がっていきました」

 転機となったのは、楽天イーグルスの優勝セールだった。

「1日で3000個売れた日があったんです。月の売り上げは1000万円を突破。これは本当に儲かるぞと確信しました」

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