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「夏の不眠」解決策の1つに薬の見直しを…5割超のエアコン節約派は考えるべき

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月19日 9時26分

■約2割の未使用組の背景に睡眠薬?

 冒頭のダイキンの調査で「エアコンを持っていない」は2.6%で、「使用していない」は15.8%だった。ここ数年、猛暑で熱中症の搬送者が増加傾向で、そんなときに問題となるのが、エアコンがない、使わないという未使用だ。

 冷涼な地域に住む人なら、夏のエアコンより冬のストーブの方が重要なのかもしれないが、熱中症で救急搬送される人が相次いでいる現実を知ると、「体温並みの暑さでなぜエアコンを使わないのか」と首をひねりたくなる。その背景に、薬の影響があるかもしれないという。

「65歳以上は全体として3人に1人は5種類以上の薬を処方されていて、その割合は年齢が上がるほど高くなり、75歳以上は4割です。その中には慎重な投与が必要な薬も含まれていて、その典型がベンゾジアゼピン系睡眠薬や睡眠導入剤として使用されることもある抗不安薬なのです。体温並みの猛暑で夜間も気温がそれほど下がらずに、これらの薬を服用して、エアコンのない状況で深い眠りについてしまうと、本人が気づかないうちに熱中症が重症化する恐れは十分あります」

 なるほど、熱帯夜でも睡眠薬で強制的に眠ってしまえば、エアコンなしやエアコンのタイマーが切れて室温が再上昇しても、それなりに眠っていられるかもしれない。そう考えると、過酷な睡眠環境で眠りについている人が少なくないのも合点がいく。電気料金を気にして節約したくなる事情もあるだろう。そうすると、高齢者の睡眠環境の改善で考えるべきは薬の見直しだ。

「快適な睡眠環境には、安全が大前提です。中高年にとって、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、できる限り作用時間の短いものに変更して、使用する場合でもなるべく少ない用量にするのが無難。そうではない非ベンゾジアゼピン系でも、少量にとどめて減量や中止を検討するのがよいでしょう。中高年、特に高齢者は複数の薬を服用していることが多く、含有成分が重なりやすいほか、薬剤の代謝や排泄にかかわる肝臓や腎臓の機能が低下し、薬剤が長く体内にとどまりやすい。そうしたことの影響で、本来期待される作用も、期待されない副作用も、強く出やすいのです」

夜間頻尿、気管支炎、高血圧、乾燥肌…

 中高年が睡眠薬に頼るのは、そうせざるを得ない事情もあるという。

「特に高齢者の場合、よく気にする症状の一つが夜間頻尿です。トイレで何度も目が覚めると、眠れなくなります。それが嫌でぐっすり眠るために睡眠薬を希望することもある。そのほかにも気管支炎や喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などで寝ているときにせき込んで、睡眠が妨げられてしまいます。その呼吸器系の治療薬として使用される気管支拡張薬には、副作用として不眠を生じることもあるのです。さらに高齢者の多くが患う高血圧を改善する降圧剤の中にも、副作用で不眠になるものがあります。つまり夜間のつらい症状からやむを得ず睡眠薬に頼らざるを得ない事情を抱えている人も少なくないのです」

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