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会社の窓口には相談しにくくて…ハラスメント相談代行のメリットと「3つの事例」

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月21日 9時26分

 通報を受けた相談員がAさんを聞き取りした後、今後の要望を聞いたところ、Aさんは「不満を吐き出すことができてすっきりした」と話したという。自分を無視した施設長に謝罪を求めることはなかった。

 相談員はその企業のコンプライアンス担当に通報すると、当該の30代の施設長は会社から指導を受け、現在も管理者として従事しているという。その後の通報相談はない。

 日本公益通報サービス取締役の三谷剛史氏は次のように話す。

「相談窓口を設けることによって、相談者の心のはけ口ができたと喜ぶ人が増えました。話を聞くことによって、解決につながっていくケースもあります」

企業は「ハラハラ」にも苦慮する時代

【事例2】昭和世代のハラスメントを引きずる悪しき慣習

 中小企業の商社マンだったBさん(60)は、58歳の時に役職定年となり、部長という管理職から平社員に。65歳まで勤め上げるつもりだったが、事件が起こる。同じ部署の23歳の新入社員が日本公益通報サービスに通報をしてきたのだ。

「Bさんから圧がかかる態度を受けています。『なんでこんなことができないんだ!』などの言い方なので、つい黙ってしまうと『なんで聞かないんだ。聞かないおまえが悪いから仕事がストップしてしまった』と責任転嫁をしてくるんです」

 新入社員はBさんから圧のある態度を改善してもらうか、Bさんの異動を要求した。本人の異動希望でないのは、「部署の他の人はよい人ばかりなので、自分は残りたい」からだという。

 相談員が企業のコンプライアンス担当に通報すると企業側はBさんに注意勧告の指導を行ったという。ところが、しばらくして再発したためBさんは異動になり、周囲から監視されることに。会社側がハラスメント研修を怠ったことも、原因のひとつと分かった。

 このケースは「昭和世代の悪しき慣習から起こったハラスメント」と前出の三谷氏が指摘する。

「昭和世代が昔の価値観をそのまま持っていることが根本の原因です。昭和世代は残業や休日に業務連絡も当たり前という感覚がありますが、令和にはそれが通用しません。若い世代はハラスメント問題に敏感になっていることすら、知らないのです」

 ハラスメント問題といえば、中古車販売業者のビッグモーター社を思い出す人も多いだろう。ビッグモーター社のように時代錯誤的な企業風土が残存する企業が少なくないと指摘する。

「『おまえはクビだ』とか、『おまえは能力がないからトイレ掃除しかやらせない』などの上から目線の言い方で業務を取り上げて退職に持ち込んでいくことがハラスメントという認識がない。だから問題が生じるのです」(三谷氏)

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