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認知症リハビリでは具体的にどんなことを行うのか?【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月24日 9時26分

認知症リハビリでは具体的にどんなことを行うのか?【正解のリハビリ、最善の介護】

ねりま健育会病院の酒向正春院長(C)日刊ゲンダイ

【正解のリハビリ、最善の介護】#38

 私が院長を務めるねりま健育会病院は、急性期治療後に病気やケガで後遺症が残ってしまった患者さんが対象になる「回復期リハビリ病院」と、慢性的な疾患を抱えていたり全身状態が衰えている要介護の高齢者を対象として在宅復帰に向けた本格的なリハビリを行う「介護老人保健施設(老健)」の機能を併せ持っています。

 認知症の患者さんはもちろんですが、たとえ高齢でも認知症ではない方に対しても、われわれは「認知機能向上リハビリ」を実施しています。今回から認知症リハビリについて詳しくお話ししていきます。

 認知症リハビリには、発症を遅らせる①予防リハ、発症後に進行を遅らせる②軽症リハ、進行しても生活が困らないようにするための③中等度リハ、自分や家族がわからないほど進行しても介護者の負担を減らすための④重症リハの4つがあります。まずは①予防リハをお話しします。

 認知症とは、加齢や疾患によって脳に変性と萎縮が生じ、認知機能が徐々に低下して日常生活に支障を来す疾患です。病態によっていくつか種類がありますが、脳の変性そのものが原因となる代表的な認知症がアルツハイマー型で、認知症の約70%を占めています。80歳以上の年を取れば誰もが発症する可能性があり、脳の変性は発症する10年以上前から生じ、徐々に進行していきます。ですから、誰しも60歳を越えたあたりから予防リハを行うのが理想的といえるでしょう。

 とくに、脳卒中などで脳が壊れてしまった部分がある患者さんや、病気や加齢で筋力と体力が衰えて運動量が低下している方は、認知症のリスクがアップします。そうしたことも考慮して、われわれの施設では、認知症を発症していなくても高齢者のほぼ全員の方に予防リハを実施しています。

■「予防リハ」ではまず筋力と体力を向上させる

 最も大切なのが、筋力と体力の向上です。廃用症候群で寝たきりになってしまった患者さんのリハビリを解説した際にもお話ししましたが、まず行うのは、朝起きて夜寝るまではベッドに寝かせることはせず、日中は覚醒した生活リズムを保ちます。そして、イスに座らせて、立たせて、歩かせて、コミュニケートすることです。これにより筋力、体力、心肺機能と意識を向上させます。ただこれは最低限のラインで、なんとか動ける状態では自宅に戻っても転倒して再び寝たきりになって、認知症につながるリスクが高いといえます。

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