熱中症は認知機能低下を進める恐れあり…暑すぎるときは手浴・足浴が役立つ【第一人者が教える 認知症のすべて】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月30日 9時26分
子供にも水分摂取を徹底させる(C)日刊ゲンダイ
【第一人者が教える 認知症のすべて】
連日、ひどい暑さですね。かつては冬が、高齢者にとって最も体への負担が大きく、乗り切るのが大変な季節でした。しかし今は、夏が最も大変。健康に夏を乗り切るために、特に脱水には気をつけてください。
脱水で熱中症になると、一時的とはいえ、脳がかなりのダメージを受け、認知症や認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)、そしてSCD(主観的認知機能低下=MCIの前段階)が進むリスクが高くなります。脱水は、水分補給を常に意識し実行に移すことで回避できるので、夏は水を定期的に飲む習慣を身につけましょう。
ある方がこんな話を。夏休みに、子供を連れて帰省したところ、親が孫に会えるうれしさで炎天下あちこちに出かけて買い物をし、ごちそうを作ろうとしてくれた。しかし、途中で気分が悪いと言い出し、病院の救急外来を受診することになった--。
原因は脱水による熱中症だったそうです。年齢に関係なく、あることに夢中になると水分摂取を忘れてしまいがち。高齢者は体内の水分が少なく脱水に陥りやすいが、喉の渇きを感じる口渇中枢の働きが加齢で低下しているため、喉の渇きを感じにくい。喉が渇いていなくても、水分をこまめに取ること!
高齢者の方は、それを自ら徹底してほしいですし、子供さんからも親にことあるごとに「夏は水分摂取」を促してほしいと思います。意外に見落としがちですが、台所で火を使っていると室温がすぐに上がってしまいます。料理中も、少しずつ水を飲むようにしてください。
よく質問されるのが「脱水をどうやって早くに発見するか?」。意識がぼんやりしてくる前に気づいて対応したい。ポイントは2つで、「口の中が乾く」「尿の色が濃くなる」です。
私の場合も、午前中、外来で患者さんを立て続けに診察し、お昼休みになって、ようやくトイレに行ったりすると、脱水で尿の色が通常よりもかなり濃くなっています。水分を取り、昼食を食べると、体内に水分が行きわたって、尿の色が透明に近い黄色に変わる。普段から口の中の状態や尿の色を知っておき、脱水チェックに役立ててほしいです。
冷たい水分は深部体温が下がりやすい
脱水対策に飲むといいのは、日常的にはまず水。水以外ではカフェインレスのものを選んでください。カフェインは利尿作用があるので、尿が増え、かえって体内の水分不足を招いてしまいます。
散歩したり、庭仕事をしたり、暑い台所で料理をしたりと、汗をかいたときは、電解質を含んだスポーツドリンクをたくさん飲むこと。全てスポーツドリンクでなくてもいいので、水と併用するのもいいでしょう。体内に速やかに吸収できるよう作られた経口補水液を念のため常備しておき、必要に応じて活用するのもいいですね。
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