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フェンシング見延和靖「だからこそまた一歩を踏み出せた」…“道”を悟った101歳からの金言

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月2日 17時47分

フェンシング見延和靖「だからこそまた一歩を踏み出せた」…“道”を悟った101歳からの金言

見延和靖(C)日刊ゲンダイ

【パリ五輪】フェンシング男子エペ

 フェンシングも東京五輪で日本を沸かせた。男子エペ団体が日本フェンシング界初の金メダルを獲得。最年長としてメンバーを引っ張った。パリが3大会連続3度目の五輪となるが、一度は頂点に立った大舞台。東京後の3年間は多くの葛藤が渦巻いた濃密な時間だったという。本人が語る。

  ◇  ◇  ◇

 僕自身、もちろん五輪は大きな目標のひとつだとは思っていますが、日本代表になってからずっと競技と向き合う中で掲げてきたのは、「史上最強のフェンサーになること」。五輪は決して最終的な目的ではないというふうに捉えていた。

 ただ、やはり五輪は自分が思っている以上に注目を浴び、自分が思っている以上に評価されることを、いざ頂点に立って初めて感じました。思った以上の満足感を得られてしまい、東京五輪が終わってからはそれまでと同じ気持ち、同じマインドでは過ごせなかった。気持ちの面で山あり谷ありの3年間でした。

 五輪への準備期間は苦しみもある。骨身に染みているので、「もう一度それをやるのか」という葛藤がありました。パリで金メダルを取れたとしても、「前回やったじゃん。もう十分やったでしょ」という自分と、「いやいや、まだまだ体は動くし、最強のフェンサーになるという目標を達成していないだろう」という2人の自分がずっと心の中で戦っているような感覚がありました。

 そんなとき、もう一度険しい道を自ら選んで歩もうと思えるきっかけとなった方との出会いがありました。そのひとりが東京五輪の翌年2022年10月ごろにお会いした裏千家の元家元、千玄室さんです。たまたまコーチの中に裏千家で働いていた方がいて、東京の今日庵という市ケ谷にある道場でお会いしました。お話ししたのは1、2時間でしたが、101歳とは思えない大きなエネルギーを感じましたね。

 東京五輪で金メダルを取り、世界ランキングも1位になった。目に見える目標は成し遂げたが、自分に満足していない。まだ引退するつもりはないけど、またここから同じ道を歩むのかと思ったら次の一歩が踏み出せない。自分の中でもどかしさがあるのですが、どうすべきでしょうか……という、抽象的な質問をぶつけたんです。すると「大層な悩みですね」と。

「大きな岩があってそこに枯れた木が1本生えてます。でもその木にも花を咲かせなければいけません」と言われたんです。

■プレースタイルを大きく変える

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