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R&B愛好者の底力を感じた3日間。「いま本当にパリでは五輪なんてやっているのか?」という疑問が…(松尾潔)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月2日 9時26分

R&B愛好者の底力を感じた3日間。「いま本当にパリでは五輪なんてやっているのか?」という疑問が…(松尾潔)

(提供写真)

【松尾潔のメロウな木曜日】#95

 R&B/ソウルミュージックの世界で、その名前が絶対的なグッドデザインマークを意味する米プロデューサー・チーム、ジミー・ジャム&テリー・ルイスが、さる7月28日(日)から3日間連続で計6回のライブをビルボードライブ東京で行った。

「ジャクソン家の末妹」という出自でしか語られることのなかったジャネット・ジャクソンを世界的スターに押し上げただけでなく、マイケル・ジャクソン、マライア・キャリー、そして旧友プリンスといった超ビッグネームとも仕事を重ね、グラミー賞を受賞すること5回。80年代から90年代にかけてR&Bが世界の音楽シーンの主流に浮上するにあたり、最大の貢献者といわれたのがジャム&ルイスである。日本のR&Bアーティストとの仕事でも知られ、特に1999年の宇多田ヒカル「Addicted To You」はセールス170万枚の大ヒットを記録した。

 ぼくは自他ともに認めるジャム&ルイスのフォロワー。実際にふたりのプロデュース曲をリミックスした経験もあるし、今年6月には彼らの作品だけを掘り下げるイベントをビルボード東京で開催した。そこでマイクを握って言った「ジャム&ルイスは『人生のサウンドトラック』のプロデューサー」に偽りはない。

 そんな彼らの40年超の音楽キャリアにして初めての来日公演は、首都圏(それ以外も)のガチなR&B愛好者は全員集合したのではないか、というほどの狂騒ぶり。締切の迫った仕事を気にしていたぼくも、この誘惑には屈したもん勝ちだと自分に言い聞かせ、結局3日間通い続けたのだった。そんなぼくを会場で目ざとく見つけて、写真撮影やサインを求めてくる酔狂なお客さんも連日2桁はいたのだから、趣味に生きる人たちの底力を感じた3日間ではあった。

 その3日間、帰路につくたびに「いま本当にパリではオリンピックなんてやってるのか?」という疑問が頭をよぎった。いや、無論やっていることは知っているのだ。でも、パリ五輪なんてステージのMCでもついぞ一度も聞くことがなかった──こんなことを言うと、音楽について語るときにオリンピックなんて時事ネタを無理に絡めなくても、と訝しむ方が出てくるかもしれない。

 でもジャム&ルイスが1996年のアトランタ五輪開会式の委嘱テーマ曲“Welcome to the world”の作者であることを知れば、この話の印象はきっと変わってくるはずだ。

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