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夏山の「低体温症」に要注意!1日10人の死亡事例も…綿素材の下着にもリスクが

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月2日 9時26分

夏山の「低体温症」に要注意!1日10人の死亡事例も…綿素材の下着にもリスクが

低体温症対策に注意が必要

 いよいよ本格的な夏の行楽シーズンがやってきた。最近、山登りは中高年に人気があり、8月11日の「山の日」近くに夏山登山にチャレンジする人もいるだろう。ただ、この時季は暑さ対策ばかりに目を奪われがちだが、万一に備えて「低体温症対策」にも注意したい。兵庫県立加古川医療センターの救急科部長で北アルプスの三俣山荘の夏山診療所でも診療に従事する伊藤岳医師に聞いた。

  ◇  ◇  ◇

「全国的に熱中症対策ばかりが強調されているせいか、都会と同じ感覚で、軽装で入山する登山初心者もいます。しかし、真夏でも標高の高い山では天気や体調次第で低体温症を発症することがあります」

 そもそも伊藤医師が診療を行う三俣山荘が今の形で設立されたのも、低体温症で死亡する登山者が後を絶たなかったから。装備が充実したいまも低体温症の登山者が珍しくないという。

 夏山での低体温症といえば、2009年7月16日に発生した北海道のトムラウシ山(2141メートル)の遭難事故が有名だ。本州からの山岳ツアー客らが遭難し、ツアーガイドを含む10人(他のパーティー、単独登山者含む)が死亡。全員50歳以上で死因は低体温症だった。

「ツアー客らはみな登山経験があり、宿泊を含む縦走予定ということで防水透湿性素材の雨具など装備に不備のないメンバーも多かったようです。しかし、天候悪化時の判断を誤った結果、低い気温に加え、連日の悪天候による衣類や足元からの濡れ、風による体温喪失、なにより低体温症の知識が乏しかったことから悲劇を招いたのです」

 そもそも人の体温には腋窩など体の表面から測定する皮膚体温と、臓器や血液の温度を反映する深部体温の2種類がある。深部体温は食道や直腸専用の体温計を使って測り、37度くらいが正常とされる。

「低体温症とは寒冷環境などにおいて体の深部体温が35度以下に低下した病態を言います。一般的に、軽症(32~35度)、中等症(28~32度)、重症(28度未満)の3つに分類され、中等症以上で死亡率が上がるといわれますが、環境や対応次第では軽症でも死亡リスクは高まります」

 低体温症になると、最初は筋肉を小刻みに動かして熱を発生させて体温を維持しようとする「シバリング」と呼ばれる体の震えが起きる。深部体温がさらに低下するとやがて震えが収まり動作が遅くぎこちなくなって反応が鈍くなり、判断力が低下。やがて昏睡状態になって心拍や呼吸が遅く、弱くなり最後は停止してしまう。

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