恩師が語るフェンシング江村美咲 意外な親娘関係と強さの原動力...個人戦の屈辱晴らす団体銅
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月5日 7時53分
江村美咲(C)共同通信社
【パリ五輪】フェンシング女子サーブル団体
日本時間4日未明に行われたフェンシング女子サーブル団体3位決定戦で日本が世界ランク1位の開催国フランスを45-40で破り、同種目で日本初となる銅メダルを獲得した。
「苦しかった。怖いし、いいプレーができるか分からない不安があった。前に行く怖さもあったけど、チームメートが背中を押してくれた」
目を真っ赤にしてこう反したのは、エースの江村美咲(25)だ。
個人で世界選手権2連覇の実績を引っさげ、金メダル候補としてパリに乗り込んだ。開会式で日本選手団の旗手に抜擢されたのもメダル獲得が確実視されたから。だが、7月29日の女子サーブル個人でまさかの3回戦敗退。悔し涙に暮れた。
この日の団体も、決して本調子ではなかった。先陣を切った第1セットで1点のリードを許し、第5セットでも4点差をつけられた。高嶋理沙、尾崎世梨の反撃で40ー37と3点リードで迎えた最終第9セット。アンカーとして登場し、5-3とリードを広げてエースの役目を果たした。
父の宏二さん(63)は1988年ソウル五輪男子フルーレに出場したフェンサー。日本フェンシング界初の「親子2代オリンピアン」となった江村は、母親の孝枝さん(56)もまた法政大フェンシング部出身で、エペ日本代表として97年世界選手権に出場。男子エペの選手として活躍した兄の将太郎さん(29)は現在、車いすフェンシングの指導者となり、弟の凌平さん(23)もサーブルで日本代表に選ばれた経歴を持つ。
フェンシングが生活の一部になっている家族だが、それでも「家は休むところ」という父親のモットーのもと、自宅でフェンシングの話はほとんどしなかったという。
試合に負けて怒ったことも皆無。江村本人も父親について「常に私を優しく見守ってくれる心強い存在」と話している。
江村は五輪初出場となった2021年の東京五輪では個人3回戦敗退となり、「燃え尽き症候群」のような状態に陥った。「もうフェンシングをやりたくない」とこぼした娘を宏二さんは叱責することもなく、約2週間、心身の休養に充てさせたという。すると22、23年には世界選手権を連覇。24年のアジア大会でも優勝し、世界ランキング1位に上り詰めた。
それでも、外から見ると父の厳しさが垣間見えたという。「娘さんには特に厳しかったと記憶しています」と話すのは、中央大フェンシング部の冨田隆監督だ。
試合に負けても相手をリスペクトできる性格
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