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妻の入院で深酒し過ぎた…嘉門タツオさん「急性膵炎」を振り返る

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月5日 9時26分

 ちょうど、「妻を見送った美談」という内容の記事が週刊誌に8ページで掲載される2日前に事故を起こしてしまったので、多方面に大変なご迷惑をおかけしました。後にその記事を書いてくれた記者の方が、事故を含めて改めて記事にしたいと言ってくれたのはありがたかった。でも、その代わり「車の運転はしない。酒はやめる」と約束しました。記事のタイトルは「天国の妻へ、もう二度と酒は飲まない」でした。

 その後、8カ月は本当に一滴もお酒を飲みませんでした。でも昨年10月、馴染みの酒屋さんから電話が来て、「お預かりしているワインはどうしましょう?」と言うではありませんか。妻が生前に36本のワインを酒屋に預けていたのです。なんと、「天国の妻からワインが送られてくる」というサプライズ。友人たちが飲みに来てくれましたが、今もまだ残っています。

 記者さんには、会うたびに「お酒飲んでないですよね?」と念を押されるのですが、「ワインと料理の相性を確認できるくらいには飲んでしまいました」と白状しました。でも、基本的には飲んでいません。

 今は3カ月に1回の血液検査、年1回総合的な検査をしているだけで、膵炎に関する薬は飲んでいません。ほんの数日前、ちょっと便が出にくくて膵炎の症状に似ていると気づいたので、すぐに摂生して危機を乗り越えました。

 じつは30年前に痛風をやっていて、尿酸値を下げる薬はずっと飲み続けています。でも、痛風も兆しを察知して予防するようにしてやり過ごしています。要は、総合的に自分の体と相談しながら日々暮らしていくべきだなと、今さらながら思っている次第です。

 自分が病人になってみて、看護師さんをはじめ、医療の素晴らしさを実感しました。どういう思いに助けられたり、一喜一憂するのかを現場に身を置いて初めてわかったのです。じつは母親の姉が92歳で現役看護師という有名な人で、本も出ているのですが、「どんな不利な状況の人にも希望を持ってもらえるように接する」と言う伯母の偉大さを感じました。

 妻と過ごした日々を含め、歌いたいこと、伝えたいことがたくさんあります。人は必ず年老いていくし、病気とともに暮らしている人もたくさんいる。そんな人たちにも、一瞬でも楽しんでもらえる瞬間をつくれるような歌を歌い続けることが自分の仕事だと思っています。

(聞き手=松永詠美子)

▽嘉門タツオ(かもん・たつお) 1959年、大阪府出身。高校在学中に落語家・笑福亭鶴光の内弟子となったが、5年後に破門になる。その後、関西の深夜ラジオ番組「ヤングタウン」で人気を博し、83年「ヤンキーの兄ちゃんのうた」でレコードデビューする。「鼻から牛乳」など独自の替え歌で異彩を放つ。9月には「鼻から牛乳 令和篇」が配信でリリースされる予定。

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