どんな人が乗るの?スーパーカー真夏の夜の夢!フェラーリ初SUVプロサングエに乗って考えた(小沢コージ)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月7日 9時26分
しかし前述した725psのV12気筒エンジンの甲高く劇場感に満ちたサウンド、力強さに流麗スタイル、ステアリングフィールは、まごう事なきフェラーリ。デカいはデカいが、いわゆる背高SUVにありがちな鈍さやかったるさは一切ない。新型プロサングエは「SUVであると同時にリアルフェラーリでもある」というのが正解なのだ。
最大のキモは、プロサングエに導入されたフェラーリ初のアクティブサスペンション。これは最新レーシングカーも手掛けるカナダのマルチマチック社と共同開発したもので、前後左右に備えたアクチュエーターが瞬時にサスペンションの長さや減衰特性を変え、SUVにありがちな鈍さを取り去ってしまう。
実際乗ってみると不思議な感覚だ。ノーズはフロントエンジンフェラーリらしく長い一方、視界はSUV的に高め。
しかし走り出した途端、背の高さを感じさせない。全長5mの大柄ボディの傾きやステアリングフィールの曖昧さがなく、ビシッとシャープにハンドリングが決まる。視点こそ高いが乗った感じはリアルスーパースポーツなのだ。
今まで乗ってた普段履きプレミアムSUVの代わり
それでいて硬派なフェラーリらしからぬほどエンタメ性能も充実しており、前席は10.2インチのダブルディスプレーで車両設定は自由自在。空調も完璧で、高級セダンさながらの4ゾーンエアコンはもちろん、4座独立したシートヒーターにシートベンチレーションまで完備。硬派なスポーツカーマニア向けというより快適装備を満載した、いまどきのお金持ち用超プレミアムSUVである。
聞けばフェラーリオーナーのほとんどがクルマを複数所有しており、フェラーリとベントレーとか、フェラーリとロールスロイスとか時に高級ミニバンとか、「趣味でフェラーリ」に乗り「普段は実用的なSUVやセダン、ミニバン」という人が多い。そういう人にとってプロサングエは既存フェラーリの代わりではなく、今まで乗ってた普段履きプレミアムSUVの代わりなのである。
タマの祝祭日は背の低いフェラーリで、土日も家族と背の高いフェラーリに乗りたい! という贅沢な需要があるのだ。お金持ちの欲望とは、かくも終わりのないものなのである。
(小沢コージ/自動車ジャーナリスト)
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