認知症の「軽症リハ」では具体的にどんなことを行うのか【正解のリハビリ、最善の介護】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月7日 9時26分
ねりま健育会病院の酒向正春院長(C)日刊ゲンダイ
【正解のリハビリ、最善の介護】#40
当院で実施している認知症リハビリのうち、今回は「軽症リハ」についてお話しします。
認知症発症後、進行を遅らせて“できる能力”を向上させるためのリハビリです。
認知症には進行度が定められています。日常生活に支障を来すほどではないけれど、物忘れが増えたり、時間や場所の感覚が乱れるといった症状が増える軽度認知障害(MCI)が進み、認知症を発症すると、直前の出来事を忘れてしまったり、同じことを何度も繰り返し口にしたり、現在の日付や曜日などが分からなくなったり、できないことが増えていきます。一般的には軽症の段階です。正確な診断は、脳の画像診断に加え、「MMSE(ミニメンタルステート検査)」「長谷川式認知症スケール」といった認知機能の評価テストを行って、時間、場所、文章復唱、計算などの項目について評価したうえで行われます。
軽症リハは、軽症の段階で介入し進行を遅らせて、できる能力を向上するために実施します。
基本的には、これまでお話しした予防リハと同じく、筋力と体力の維持・向上のための身体トレーニング、頭を使う(学習)トレーニング、コミュニケーションを図る取り組みを行いながら、外来や通所とは別に自宅を訪問して「日常生活で困らない」ようにするためのリハビリを実施していきます。
軽症の段階では、記憶障害に加えて、注意障害、見当識障害が現れるため、それまでできていたことが徐々にできなくなってきます。そのため、日常生活において、料理が嫌になった、掃除や洗濯をしたくない……といった意欲の低下がみられるようになります。その際、「嫌ならばやらなくてもいいですよ」などと敬遠させてしまうと、その作業のすべてができなくなっていきます。ですから、本人にその作業を継続してもらうことが重要になります。
■自分でできることはやってもらう環境を整える
そのために必要なのが、何ができなくて困っているのかを整理し、その作業の工程をシンプルにしたうえで、繰り返し行ってもらうことです。たとえば、調理の場合、献立を決め、食材を用意し、使う道具を選択するなど工程が複雑なので、認知症の患者さんは調理すること自体がおっくうになります。そこで、患者さんは調理をする際に何ができないのか、どこに困っているのかを整理し、できないことや困っていることだけを周囲がサポートして、工程をシンプルにしたうえで、本人にはできることだけをやってもらうようにします。
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