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認知症の「軽症リハ」では具体的にどんなことを行うのか【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月7日 9時26分

 自分で献立が決められないなら、その人の得意のメニューだけを数を絞って挙げたり、周囲が決めて設置したホワイトボードに掲示したり、調理の手順を記載したり、火事の不安を軽減するためにガスコンロをIHコンロに変更したり、調理器具や調味料の数を必要最低限まで減らし、保管場所を1カ所にまとめたり……といったように環境を整え、自分でやれることを続けてもらうのです。たとえ時間がかかっても最後まで本人が行い、使った道具や調味料は自分で後片付けしてもらうことも大切です。

 これが洗濯なら、洗剤を投入して開始のボタンを押すだけの作業を継続してもらうなど、本人ができることを繰り返し反復して継続することがとても重要です。できることだけはやってもらうことを続けないと、いずれすべてができなくなってしまうのです。

 その際、家族にはどう関わって、どの部分でサポートするのかについての指導も行います。特に食事なら、「とてもおいしいよ。ありがとう」、洗濯なら、「とてもキレイでいい香りになったね。ありがとう」などと感謝の気持ちを表現して関わることが大切です。

 認知症は進行すると神経細胞が減っていくため、どうしてもできなくなる作業が徐々に増えていきます。そうなった時、「なんでできないんだ」と叱責して、無理にでも思い出させようと本人にやらせるのは不可能です。できなくなった作業はあるけれど、全体の工程をシンプルにすればこなすことができるというふうに仕組みを変更する。これが認知症の進行を遅らせて、できる能力を向上させる軽症リハのひとつの方法なのです。

(酒向正春/ねりま健育会病院院長)

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