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少子化対策の切り札に? 世界初!AI予測モデルによる精液なしの男性不妊スクリーニング検査

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月8日 9時26分

少子化対策の切り札に? 世界初!AI予測モデルによる精液なしの男性不妊スクリーニング検査

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 世界初の「精子採取なしの男性不妊の1次スクリーニングAI予測モデル」が、英国科学誌「ScientificReports」(2024年7月31日付)に紹介され、国際的な反響を呼んでいる。男性不妊治療は少子化が進む国の課題のひとつだが、診断に必要な精液検査のハードルが高いことが治療の障壁となっている。この技術により血液検査のみで男性不妊リスクの判定ができれば、治療が必要な男性が浮き彫りになり、男性不妊治療は大幅に進む。AI予測モデルの開発者で論文の筆頭執筆者である、東邦大学医学部泌尿器科学講座准教授の小林秀行医師に話を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

「私たちは、血液検査によるホルモン値の測定だけで男性不妊リスクを測定するAI予測モデルを、2011年から10年間に男性不妊の検査で訪れた3662人の精液ならびにホルモン検査の臨床データを用いて構築しました。その精度は約74%で、男性不妊症の中でも最も深刻な非閉塞性無精子症(精子が通る管は正常だが、何らかの原因で精巣で精子の生産ができなくなり無精子症と診断されたケース)では100%の正答率でした」

 論文発表後、英国の大手新聞「ガーディアン」など世界中の180を超えるメディアで論文引用されており、学術論文の社会的影響度の指標であるオルトメトリクスは8月3日時点で1000を超えている。

「まだまだ診断精度は満足いくものではありませんが、AIに学習させる臨床データを増やせば診断精度は向上するでしょう。ただし、このAI予測モデルは、精液検査に代わるものではなく、その前段階で行う1次スクリーニング的な位置づけです。ですから、実用化すれば不妊治療専門施設以外でも手軽に受けられるようになり、精液検査のハードルを下げることにつながると期待しています。このAI予測モデルで異常が見つかれば、非閉塞性無精子症を疑い治療するきっかけになるでしょう」

 この技術に世界が強い関心を寄せるのは、少子化が年々深刻になっているからだ。実際、1人の女性が生涯を通じて産む子供の数を表す合計特殊出生率の直近データは、日本1.39、韓国1.11、台湾1.09、米国1.84、英国1.63、ドイツ1.58、イタリア1.24、中国1.45。夫婦で「2人」を維持できないことは少子化を食い止められないということだ。

 むろん、出生率低下の原因は非婚率とも連動しているが、不妊も原因のひとつで、それは男性も大いに関係している。

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