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コスモス薬品はM&Aなしの“単独路線”を貫き、売上高1兆円達成へ(有森隆)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月14日 9時26分

コスモス薬品はM&Aなしの“単独路線”を貫き、売上高1兆円達成へ(有森隆)

東京・広尾に出店(C)日刊ゲンダイ

【企業深層研究】コスモス薬局(上)

 ドラッグストア大手コスモス薬品(福岡市、東証プライム上場)は売上高1兆円に王手をかけた。2025年5月期の連結売上高は前期比7.5%増の1兆370億円になる見通し。大手各社がM&Aで規模を拡大してきたのに対して、単独路線を貫いて1兆円の大台に乗せるのは異例だ。

 24年5月期の連結決算は、売上高が前期比16.6%増の9649億円、営業利益は4.6%増の315億円、純利益は2.8%増の244億円だった。

 一定地域に集中的に出店するドミナント戦略を取り、九州から四国・中国・関西、中部と東上作戦を進め、近年力を入れているのが関東。関東に50店、本拠地の九州に29店など計139店舗を出店して店舗網を拡大。全体の店舗数は1490店舗(5月時点)となった。

 同社の特色は、売上高に占める食品比率が高いこと。24年5月期の食品部門の売り上げは、前期比20.4%増の5827億円をあげ、売上高に占める食品比率は60.4%と初めて6割を超えた。

 1973年、薬剤師の宇野正晃会長が宮崎県延岡市に創業した調剤薬局が源流。

 ドラッグストアへの参入は93年と大手では遅いが、後発だからこその勝算があった。大型店を出店規制する大規模小売店舗法(大店法)の撤廃だ。

 ドラッグストアの多くは小さな薬店から発展し、売り場面積が100~500平方メートルの小さな店舗だった。宇野氏は競合店の良しあしを研究し、小商圏の大型店が秘める可能性を確信していた。大店法の廃止を待って大型店を一気に広げた。

 大店法の撤廃を機に、大型店の展開で業界上位に駆け上がったことでは、家電量販店のヤマダ電機(現ヤマダホールディングス)と共通する。

 我流の出店戦略である。食品スーパーが進出していない人口1万人の商圏に1000~2000平方メートルの売り場面積をもつ大型店を郊外に建てる小商圏型メガドラッグストアが基本戦略だ。

 一般のドラッグストアは店舗面積200~1000平方メートルが多い。コスモスは当初から食品に力を入れており、大きな店は品ぞろえで有利だからだ。ドラッグストアの定番である医薬品や化粧品では、いつも客が来ることはないが、食品は日常的に顧客を誘致できるところが強みだ。

 加えて、EDLP(エブリデー・ロー・プライス=毎日安売り)を徹底することで集客を図っている。EDLPのためには、安い販管費で売る必要がある。日替わりの特売はせずに、ポイントカードもない。

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