認知症の「軽症リハ」で、昼夜逆転の生活リズムを戻すこと重要なのはなぜか【正解のリハビリ、最善の介護】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月14日 9時26分
ねりま健育会病院の酒向正春院長(C)日刊ゲンダイ
【正解のリハビリ、最善の介護】#41
認知症を発症後、軽症の段階で介入して、できる限り進行を遅らせ、“できる能力”を向上させる認知機能向上リハビリが「軽症リハ」です。
私が院長を務める、ねりま健育会病院に設置している「介護老人保健施設(老健)」では、入所された軽症の認知症患者さんに対し、在宅復帰に向けた軽症リハを行います。基本的には予防リハと同じく、筋力と体力の維持・向上のための身体トレーニング、楽しめる学習トレーニング、コミュニケーションを図る取り組みを行いながら、日常生活で困らないようにするためのリハビリです。
老健の入所期間は、原則として3カ月に設定されています。その間に軽症リハを実施して、生活に困らないくらいまで“できる能力”を向上させ、自宅にお戻しするのです。
現在、ほとんどの老健は、介護の合間に患者さんを3カ月入所させ、自宅に戻って、また3カ月たったら再び入所させる「3カ月リピートのお預かり施設」になっているのが実情です。もちろん、介護している家族が潰れてしまわないように、一時的な“避難所”として利用することにはとても意義があり、家族からのSOSがあれば、それを救うサポートをすることが極めて大切です。
当院では、軽症の認知症患者さんが入所してリハビリに取り組んだことで認知症の症状が回復し、自宅に戻ってからも楽しく暮らせるようになり、当院に再び戻ってくることはなくなるケースもたくさんあります。
■症状がほぼ改善して自宅に戻るケースも
認知症が軽症の段階で、介護する家族がいちばん困るのは、「夜に眠らなくなる」ことです。認知症では睡眠障害が起こるケースが多く見られます。加齢により浅い眠りの割合が増えて中途覚醒が多くなったり、認知機能の低下で日中の外出の機会が減るなど活動量が低下することで昼寝をする時間が増え、夜に眠れなくなるのです。
そうなると、夜に動き回って転倒したり、外を徘徊するなどトラブルのリスクがアップします。通常であれば就寝している時間ですから、介護する家族の負担が増大し“ギブアップ”につながってしまうのです。
そのため当院では、冒頭で触れた軽症リハと並行して、「昼間は起きて、夜は眠る」という本来の生活リズムを取り戻す取り組みを行います。朝起床してから、夜に就寝するまではベッドに寝かせないようにして、リハビリや食事の時間も含めて日中は覚醒した生活リズムを保つのです。
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