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加橋かつみさんが憧れたストーンズ「サティスファクション」はザ・タイガースの原点でもある【人生を変えた一曲】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月19日 9時26分

■タイガースは5人の足し算じゃなく掛け算だった

 ストーンズを生では見たことはないです。人気が出てだいぶたってからですが、NHKでライブのフィルムを見せてもらったことがあります。映像として見たのはそれが初めて。その時にブライアンはかっこいいなと思いました。このバンドは普通じゃないな、とも。

 もっとも、ブライアンがいなくなったら、急にストーンズに興味がなくなっちゃってね。

 その後、衝撃を受けたのはロンドンで見たジミ・ヘンドリックス。あれはすごかった。ビックリして腰が抜けそうになりました。

 ──タイガースの結成は67年、「僕のマリー」でデビューした。ボーカルとして歌った「花の首飾り」や「君だけに愛を」などが次々にヒット。加橋さんは69年に脱退、グループは71年に解散した(その後、2回再結成)。

 いろんなことがありましたが、音楽から学んだことがあります。

 タイガースの活動はアマチュア時代から数えるとたった4年ぐらいです。後から沢田を入れて5人になった。その時、第六感というのかな、頭の中でチカッと光るものがあった。このグループは何をやっても他には勝てる……。それが証拠に楽器を持ってトップになるのに1年くらいしかかかっていない。当時はザ・スパイダース、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、ブルージーンズといった人気グループがいたけど、彼らの間をすり抜けていきましたからね。

 普通は5人いたら、5人の足し算です。ところが、タイガースは掛け算だった。掛け算してまるで核分裂みたいに破裂していく。個性がまったく異なり、一つの方向性を与えると異なる方向に向かって広がる。そんな感じ。うまく言葉で言い表せませんが。

 でも、あの時は考えてもいなかったことですが、その途中で瞳が東京に行って渡辺プロと契約しちゃった。僕はプロになるつもりもなかったし事務所にも入りたくなかった。入ってみたらスケジュールは2年先まで真っ黒です。しかし、契約は2年ごとの更新でその間はどうにもならない。

 僕はメンバーに話をして独立する準備を進めていました。でも、ダメでしたね。契約書にサインしないのは僕だけでした。

 そんなある日、楽器店のビルで新曲のリハーサルをやっていた時のことです。休憩時間に部屋のドアが開いたんです。目の前にはちょうどエレベーターがあった。僕はそれに引き込まれるように乗って下に降りました。そして、そこにタクシーが止まっていたので、そのまま乗っていました。

 僕がいなくなって、入っていたスケジュールがキャンセルになり、大変だったようです。今だから話せることですけど。

 60年代から僕が聴いていたような音楽が出てきたのは戦争があったからです。ベトナム戦争のしわ寄せです。僕もその辺はいつも気にしていた。タイガースをやめた年の暮れには反戦を訴えるミュージカル「ヘアー」をアメリカから持ってきて、公演しました。

 民主主義って何かを考えることがあります。民主主義は多数決だけじゃないんです。人の尊厳を理解、尊重すること。それが僕の生き方の一番のべース。それも大切なのは哲学といった理屈じゃなく、音楽や芸術を通して心の感性に訴えていくことだと思っています。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

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