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残暑の「脱水」には要注意…心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなる

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月30日 9時26分

残暑の「脱水」には要注意…心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなる

写真はイメージ

 8月も残りわずかとなり、朝晩はだいぶ過ごしやすくなってきた。とはいえ、日中の暑さはまだまだ続いているから、気を抜くことなく「脱水」に注意する必要がある。循環器専門医で東邦大学名誉教授の東丸貴信氏に聞いた。

 心筋梗塞や脳卒中の発症は、1月をピークに冬場に最も多く、気温の上昇とともに3月から6月まで徐々に少なくなっていく。しかし、7月には上昇に転じ、秋から冬に向けてまた増えていく。

 通常、気温が上がると血管が拡張して血圧は低下するため、心筋梗塞や脳卒中のリスクは下がると考えられる。しかし、逆に上昇しているのは脱水や熱中症が大きな要因になっている可能性がある。

「脱水になると、血液が濃くなり、固まりやすくなります。血の塊である血栓が脳動脈にできると脳梗塞、心臓に血液を送る冠動脈にできると心筋梗塞が生じます。高血圧症や糖尿病などの生活習慣病を抱えていて、動脈硬化が進んでいる人ではさらにリスクが高くなります。暑い夏は発汗などで体内の水分が不足して脱水状態になりやすいため、脳梗塞や心筋梗塞の発症が増えるのです」

 脱水などで固まりやすくなった血液を俗に「ドロドロ血液」と称することがあるが、正式な医学用語ではなく、医学的には「血液粘度が高い」状態に近い。血液が濃い、血液が脂っぽい、赤血球などが変形しにくい、赤血球や血小板が凝集(集まって固まる)しやすいといった状態を表現したものといえる。生活習慣病があると、血液はこのような状態になりやすい。

「われわれの血液には血漿という液体成分と、赤血球、白血球、血小板といった血球細胞成分があり、赤血球が血球のほとんどを占めます。脱水で血液中の水分が減ると、赤血球数が相対的に多くなるうえ、赤血球の変形能が下がって=硬くなって血液の粘度が高くなります。また、脱水になると、赤血球や出血時に血液を固める働きがある血小板が凝集しやすくなり、赤血球などの血球成分やフィブリノーゲンを取り込んで血栓ができやすくなります。生活習慣病や動脈硬化のある人では特にリスクが高いといえます」

 以前は、冠動脈の硬化が進み、血管内腔が狭くなってから血栓ができると考えられていた。しかし実際は、過半数の患者で冠動脈がそれほど狭くなくとも心筋梗塞が生じていることが分かってきた。血液のドロドロ具合は冠動脈の狭窄(狭さ)の程度と同じくらい重要なリスク要素と考えられているという。

■起床3時間以内に水分を十分に摂取する

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