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今年4月から先進医療に認定 「子宮腺筋症」の最新治療…妊娠を望むなら知っておきたい

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月31日 9時26分

今年4月から先進医療に認定 「子宮腺筋症」の最新治療…妊娠を望むなら知っておきたい

写真はイメージ

 強い月経痛や月経過多に悩まされる「子宮腺筋症」。認知度は低いが、女性の20~30%が罹患しているとされ、不妊のリスクにつながるとの報告もある。東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座教授で、日々、子宮腺筋症の診療にあたる廣田泰氏に聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 子宮は、内側から子宮内膜、子宮筋層、漿膜の3層構造になっている。何らかの原因で子宮内膜に似た組織が、子宮筋層内に入り込んだ状態を「子宮腺筋症」と呼ぶ。

「子宮は筋肉からできている臓器なので伸び縮みする特徴がありますが、子宮腺筋症ができると筋層の組織が硬くなるので、子宮全体がうまく伸縮できません。そのためアンバランスな強い子宮収縮がおこり、月経痛が強くなったり、止血の効果が薄れて出血が止まらなくなりやすい」

 症状はほかにも、月経過多に伴う貧血、不正出血のほか骨盤痛などが挙げられる。子宮腺筋症に似た症状が見られる「子宮内膜症」や「子宮筋腫」を合併するケースも非常に多く、子宮腺筋症患者の20%に子宮内膜症、65%に子宮筋腫を合併するとされている。

「さらに子宮腺筋症の方は不妊で着床しづらくなったり、妊娠しても流産や早産のリスクが高くなることが報告されています。患者さんの多くは30代後半から40代に発症するので、妊娠を希望される方の場合には、何らかの治療を検討する必要があるのです」

 治療は主に保存的療法と外科的療法に分けられ、一般的なのがホルモン療法だ。「黄体ホルモン製剤」は、痛みの症状のほかに病巣のサイズを縮小させて進行を抑えることから、治療の第1選択とされている。痛みの症状を抑えるために「低用量ピル」が用いられることもある。ホルモン療法での効果が十分でなく、子宮筋腫や子宮内膜症を合併している場合には、女性ホルモンの分泌を抑えて一時的に閉経状態にする「GnRHアンタゴニスト」や「GnRHアゴニスト」という薬が処方されるという。

「GnRHアンタゴニストやGnRHアゴニストは、骨密度の減少や更年期症状といった副作用があるため、6カ月で使用を中断しなければならない。保存的療法で治療効果が悪い場合に選択されるのが手術です。産婦人科診療ガイドラインでも、子宮全摘が根治的治療と記されていますが、全摘出を望まない患者さんも多くいます。将来の妊娠を考えている方を対象に行っているのが『子宮腺筋症病巣除去術』です」

■4月から先進医療に認定

 子宮腺筋症病巣除去術は、全身麻酔下で開腹し、子宮腺筋症の病変部だけをメスで取り除いて正常な子宮を温存させる治療だ。2005年から先進医療として高周波切除器を用いた術式で行われていたが、今年4月、手術器具を問わない術式として厚労省により先進医療として認定された。

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