1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

アルツハイマー型認知症のリハビリで注意すべきポイントは?【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月4日 9時26分

アルツハイマー型認知症のリハビリで注意すべきポイントは?【正解のリハビリ、最善の介護】

ねりま健育会病院の酒向正春院長(C)日刊ゲンダイ

【正解のリハビリ、最善の介護】#44

 認知症を発症後のリハビリは、病気の種類と特徴を把握したうえでアプローチすることが大切になります。

 今回はアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症について取り上げます。

 アルツハイマー型は脳の変性による認知症の70%を占めていて、脳画像を見ると前頭葉と頭頂葉--特に側頭葉の海馬が大きく萎縮しています。海馬は短期記憶をつかさどっているため、最近の出来事を記憶する力が低下して、自分が何かを忘れていることも自覚できないのが特徴です。

 そうした記憶障害だけでなく、アルツハイマー型の患者さんに特に特徴的なのが「取り繕い」という反応です。相手から何か話題を振られたときなどに、それを忘れてしまっているにもかかわらず話を合わせて覚えているかのように振る舞い、近くにいる知人に「そうだよね」と同意を求める傾向があるのです。取り繕いは、自分の記憶障害を知られて恥ずかしい思いをしたくないといった自尊心を保とうとする気持ちから現れるといわれます。ですから、取り繕う患者さんはアルツハイマー型だとすぐにわかります。

 また、アルツハイマー型の患者さんは精神的な症状の特徴から「無関心になる=陰性症状」「穏やか」「怒りっぽくなる=陽性症状」という3つに大きく分けられます。リハビリを行う際はそれぞれの傾向に合わせて進めなければトラブルの原因になってしまいます。

 同じアルツハイマー型でも、いつも穏やかでニコニコしている“ボケ老人”であれば好かれますが、いつも興奮して怒っている方は嫌われてしまいます。何事にも無関心でまったく反応がない方も周りは困ってしまいます。ですから、その症状評価をして、まず環境調整と関わり方によって陽性と陰性が改善するように試みます。しかし、それが難しい場合は、陽性や陰性の方を薬による治療で「穏やか」な状態までコントロールする必要があります。

 ただし、陽性と陰性では真逆の治療が必要です。すぐに興奮して怒り出す陽性の方は前頭側頭型認知症の病態を合併されている方が多く、漢方薬や向精神薬を使って穏やかになるようコントロールしていきます。一方、無関心な陰性の方には、反応が出るように抗認知症薬を調整します。抗認知症薬は基本的に運動機能や精神機能を刺激してあげる作用があり、陽性の方に使うとさらに興奮して怒りっぽくなってしまうので、同じアルツハイマー型でも薬の使い方には注意しなければなりません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください