アルツハイマー型認知症のリハビリで注意すべきポイントは?【正解のリハビリ、最善の介護】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月4日 9時26分
アルツハイマー型の患者さんは、このように治療で「穏やか」な状態にコントロールしたうえで、可能な限り「座らせる」「立たせる」「歩かせる」「コミュニケーションする」「楽しいと思うことを継続してもらう」といった認知症リハビリを実践していくのです。
■レビー小体型は不調が出ないタイミングで実施
レビー小体型認知症は、脳の神経細胞に異常なタンパク質であるレビー小体が蓄積することで起こる認知症で、認知症の約20%を占めています。脳画像を見ると、脳幹から小脳、後頭葉の辺りが軽度萎縮しています。レビー小体が脳幹に現れるとパーキンソン病を引き起こすので、パーキンソン病が加齢とともに悪化してレビー小体型になるようなイメージです。そのため、パーキンソン病と同じような、脳内で不足するドーパミンを補ったり、ドーパミンの遊離を促進したり、神経回路の働きを補正する薬を使った治療が行われます。レビー小体型も、アルツハイマー型と同じように興奮型と無関心型があり、抗認知症薬と抗精神薬の使い分けが必要です。
また、レビー小体型では幻視や幻覚を見るという特徴的な症状が現れます。これは、「昼間は起きて、夜は寝る」という生活リズムが崩れると起こりやすくなるので、きちんと生活リズムを整えてあげることが重要です。
さらに、レビー小体型は一日の中で症状がかなり変動するという特徴があります。起立性低血圧や体温調節障害などの自律神経症状も出てくるので、不調がないタイミングに合わせてリハビリを実施しなければいけません。とりわけ歩行障害が進行する場合が多いことから、しっかり歩けるようにするための歩容と筋肉トレーニングが大切になります。
認知症リハビリは、「座らせる」「立たせる」「歩かせる」「コミュニケーションする」という基本となるポイントは共通していますが、病気の種類に応じたアプローチが欠かせないのです。
(酒向正春/ねりま健育会病院院長)
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