糖尿病を「手術」で治す…膵臓移植はいまどうなっているのか
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月13日 9時26分
■全国で500例以上の実績も課題は臓器不足
「本邦膵臓移植症例登録報告(2023)」(日本膵・膵島移植学会)によると膵臓移植手術を行える認定医療機関は昨年6月時点で全国に21施設あるが、最も症例数が多い医療機関ですら102例(うち2例は生体移植)。2000年4月から2022年末までにわが国で行われた脳死・心肺停止下での膵臓移植は491例(脳死下488例、心肺停止下3例)で、2014年以降行われていない生体間移植27例を加えても合計518例に過ぎない。しかも2020年28例、2021年23例、2022年30例と新型コロナ前の2019年の49例から大幅に減少している。
手術リスクがあるとはいえ、人工透析や血糖コントロールに悩み、日々のインスリン注射に苦しむ人にとっては価値ある治療法に思えるが、なぜ普及しないのか?
「そもそも臓器提供数が少ないうえ、提供者(ドナー)の臓器が必ずしも受け手(レシピエント)に合致しないことなどが原因です。実際、2022年末までの脳死・心肺停止下の臓器提供承諾は889例あり、膵臓移植の実施は488例で、実施率は54.9%にとどまっています。日本の膵臓移植は、いわゆるマージナルドナー(完璧に条件を満たしているとは言えないものの、移植可能な臓器を提供しうるドナー)が中心です。これまでの491例中346例がこれに該当し、1、3、5年の生存率はそれぞれ95.5%、94.2%、92.2%で、非マージナルドナーとの有意差はありませんでした」
ちなみに手術後に亡くなったのは55例。内訳は感染症14例、がん7例、心臓病8例、脳血管障害4例。膵臓グラフト(膵臓と腸のつなぎ目または閉鎖した膵臓の断端から膵液が漏れること)による死亡もあった。
「膵臓移植による糖尿病治療は欧米では確立した治療法ですが、日本では研究段階の側面が強く、誰でも受けられるものではありません。ただ、重度の糖尿病のなかには投薬治療では救えない患者さんもいます。こういう治療法があることを知っておくことも大切です」
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