高齢者の虫歯予防には「フッ素ケア」が効果あり…海外では70%以上激減したとの報告も
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月14日 9時26分
効果を持続させるには歯磨きの仕方にも気をつけて
近年、口腔ケアの重要性がクローズアップされる中、虫歯の予防法として「フッ素(フッ化物)」があらためて注目されている。子供が行うケアというイメージがあるが、じつは大人、とりわけ高齢者に有効だという。小林歯科医院の小林友貴院長に詳しく聞いた。
フッ素は天然に存在する元素のひとつで、土や水など自然界のあらゆるところだけでなく、食べ物や飲み物にも含まれている。すべての動物や植物の体内にも含まれ、成人では2.6グラム程度のフッ素が存在している。
■虫歯の予防や進行を防ぐ働きは主に3つ
そのフッ素には虫歯を予防する効果があり、世界的にも広く認められている。
「フッ素に認められている虫歯の予防や進行を防ぐ働きは、主に3つあります。まずは①エナメル質の修復を促進する働きで、歯の表面を覆っているエナメル質が溶けてなくなってしまった箇所を修復します。唾液に含まれるカルシウムやリン酸を歯に取り入れて再石灰化するため、初期虫歯なら治癒も可能です。次は②歯質を強化する働きで、歯に塗布するとフルオロアパタイトと呼ばれる結晶構造を作り、表面のエナメル質を酸に溶けにくい性質に変えて虫歯になりにくくします。さらに③細菌の動きを弱める働きで、虫歯菌の活動を抑えます」
こうしたフッ素の虫歯予防効果は、虫歯の大きな原因となる砂糖などの甘味成分の摂取を制限することよりも有効とされている。実際、水道水に含まれるフッ素を適正な濃度に調整したり、フッ素ケアを普及させた海外の国々では虫歯が50~70%以上も激減したとの報告もあるほどだ。
フッ素は、乳歯でも永久歯でも生えたての歯で多く取り込みやすいため、より効果が期待できる生後6カ月から15歳くらいまでの子供に塗布が勧められるケースが多い。乳幼児に年6回フッ素塗布を行うことで乳歯の虫歯が減少し、虫歯がまったくない3歳児の割合が増加したという研究もある。とはいえ、大人でもメリットは大きく、とりわけ高齢者には有効だという。
「年をとると、歯茎が痩せて徐々に下がっていきます。10年で2ミリ下がるといわれていて、そうなると歯根が露出してしまいます。歯根は、酸に溶けにくいエナメル質で覆われていないため、虫歯になりやすい部分です。虫歯菌が大量の酸を産生する最大の要因である砂糖ではなく、味噌汁のような食品でも虫歯につながってしまいます。そうしたリスクを軽減させるために、フッ素ケアが効果的なのです」
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