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認知症の家族は自宅で介護したほうがいいのか?【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月18日 9時26分

認知症の家族は自宅で介護したほうがいいのか?【正解のリハビリ、最善の介護】

ねりま健育会病院の酒向正春院長(本人提供)

【正解のリハビリ、最善の介護】#46

 ねりま健育会病院に併設されている介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰とアフターケアに力を入れた超強化型老健です。認知症の患者さんが入所された場合、定められた3カ月の入所期間で、軽症、中等症、重症、それぞれの状態に応じたリハビリを行い、少しでも状態を改善して自宅にお戻しすることを原則にしています。また、それぞれの重症度以外にも、活気なし型、穏やか型、易怒性などの問題行動型、といった3つのタイプがあり、それぞれ治療の方法も異なります。

 患者さんが入所している間、介護をしている家族にはお休みして一息ついてもらいます。患者さんが自宅に戻ってきたときには、認知機能や精神機能、運動機能や睡眠状態が改善しているため、介助量が減ったことを実感できます。この認知症入所リハビリパターンを3カ月ごとにリピートすることも可能です。

 家族と専門家、施設が一緒に考えて、その患者さんと家族に合ったリハ介護を実践していくのが最善の介護なのです。

 軽症の場合、施設で睡眠リズムをはじめとした生活パターンを整えたり、余暇時間にやりがいを見つけたり、筋力トレーニングのリハビリを行って日常生活動作や精神状態が改善した結果、自宅に戻った後は再び来院されることがなくなるケースも少なくありません。

 ただ、病状が中等症以上の患者さんは、介助の負担が大きくなるため、家族がひとりでみるのは限界があります。ですから、何か困ったことがあったり、疲れてしまったら、専門家や施設に相談して、一緒に最善の介護に取り組むことが大切です。最近は、この改善効果を実感した訪問診療医の先生方からの紹介入所が増えています。

 施設に入所した場合、24時間365日ずっと管理された状態での介護となり、自宅では、患者さんが「そばにいてくれるだけでうれしい」と思っている家族が24時間365日、介護することになります。当院はホスピタリティーを大切にしており、公平、公正、親切の3原則を徹底して、患者・家族と私たちの相互満足を基本にしています。ただ、施設によっては、スタッフがしっかりみるとはいっても、その患者さんに対してどこまで愛情がこもっているかは一様ではありません。

 一方、家族によってはとても深い愛情をこめて介護にあたるケースがたくさんあります。ですから、家族が介護できるのならば、自宅でみるほうが良い場合も多いのです。とくにまだ体は元気で動ける患者さんの場合、なるべく動かないように制限する施設もありますので、そのまま寝たきりになってしまう患者さんもいます。ですから、まだまだ体が動く患者さんは、家族がカバーできる範囲でどんどん動いてもらえるように、自宅でみるほうが望ましいといえるでしょう。

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