【新生エディージャパン検証】ラグビー・パシフィック杯準VもダブルSO不発…負けパターン脱却ならず(永田洋光)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月24日 17時35分
パシフィック杯決勝でフィジーに敗れて肩を落とす日本フィフティーン(C)共同通信社
2015年以来9年ぶり2度目の就任となったエディ・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)率いるラグビー日本代表(世界ランク13位)は、21日に東大阪市花園ラグビー場で行われたアサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024決勝戦でフィジー(10位)に17対41と完敗。6月22日のイングランド戦(5位=17対52)から始まった、第2次エディ・ジャパンでのサマーシリーズの締めくくりを白星で飾れなかった。スポーツライターの永田洋光氏が新生ジャパンの戦いぶりを検証する。
◇ ◇ ◇
イングランド戦からジョージア(12位)、イタリア(8位)とテストマッチ3連敗を喫して先行きが危ぶまれたジャパンは、この大会に入ってカナダ(22位)、アメリカ(19位)に連勝。準決勝で対戦した格上(対戦時13位)のサモアにも49対27と快勝してランクを1つ上げた。
アメリカ戦の後半に、途中出場の立川理道をSOに入れ、それまで司令塔を務めた李承信をFBに下げる布陣を試して手応えをつかんだジョーンズHCは、このサモア戦でも10番に立川を先発させた。
34歳で経験豊富な立川にゲームの組み立てを任せ、それまで「超速ラグビー」一辺倒だったチームに冷静なゲームコントロールを持ち込もうとしたのだ。
そして、パス、キック、ランと三拍子揃った能力を持つ李を15番に下げて、ボールを動かすなかでの攻撃起点に据えた。
いわば司令塔を2人配置する"ダブルSO"。これが、李のアタックセンスを上手く引き出して、サモア戦の快勝に結びついた。
結果に気を良くしたジョーンズHCは、フィジー戦にも同じ布陣で臨んだが、立川が交代した52分までに挙げたトライは、前半20分にCTBディラン・ライリーがフィジー防御のギャップを個人技で突破した1本のみ。
キックを使った地域の取り合いなどでダブルSOは一定の効果を発揮して、スコアは10対10だったが、フィジー防御を崩すまでには至らなかった。
しかも、立川が下がってからの残り30分は、李がSOに回ったが、前半に何度も積極的なカウンターアタックを仕掛けていたために、明らかにオーバーワーク気味。
おまけにフィジーがキックを使ってジャパンを自陣に押し込めたため、ジャパンは自陣からリスキーなアタックを仕掛けざるを得ず、ミスでボールを失っては攻め込まれるパターンが続いて、20分間で31点を失った。
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