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エーザイは「レカネマブ」の売り上げ振るわず株価も低迷…待ち受ける業界再編の大波(横関寿寛/ジャーナリスト)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月3日 9時26分

エーザイは「レカネマブ」の売り上げ振るわず株価も低迷…待ち受ける業界再編の大波(横関寿寛/ジャーナリスト)

レカネマブ(レケンビ)/(提供写真)

【企業深層研究】エーザイ(下)

 エーザイの株価が冴えない。昨年来の株価は最高値が2023年6月の1万590円。以後はほぼ右肩下がり。8月2日に行った24年4~6月期の四半期決算では売上収益は1890億円で、前年同期比マイナス4%。23年10~12月期以来、3四半期連続でマイナス成長。株価が振るわないのもうなずけるというもの。

 同社の内藤晴夫CEOは、22年にトップ就任から35年目の節目を迎えた際、今後は「次期候補薬のレカネマブに全集中させてほしい」と意気込みを語っていた。しかし、そのレカネマブ(製品名・レケンビ)は、昨年9月にアルツハイマー治療薬として国内の承認を得たものの、回収がおぼつかない。23年度にレケンビに投入した研究開発費と販売管理費は計約1100億円。ところが100億円をもくろんでいた売り上げが、23年度は約42億6000万円止まり。レケンビは同社にとって“虎の子”だったが、立ち上がりは遅いまま。先の四半期では63億円に増えてはいるが、決算数字を押し上げるまでの貢献には至っていない。先行き不透明感が漂うのも当然だ。

 内藤CEOの後継と内外共に認められ、6月に常務執行役から代表執行役専務に昇進した長男の景介氏は「累計投与患者数は23年度末で400人、24年度末で7000人」との見通しを示し、今後に明るい含みを持たせたが、これにも死角が。米製薬大手のイーライリリーの同種の新薬の「ドナネマブ」の製造販売が、9月24日に国内で承認されたからだ。早くもライバル出現である。リリー社の23年度の売上高は341億ドル(約5兆3440億円)で、エーザイの7000億円台とはケタ違い。その分、販促網の構築・営業費にかけられる金額も大きい。

 それだけではない。レケンビは現在、日本、アメリカ、中国で販売を行い、イスラエルでも承認を得ているが、欧州当局からは否定的な見解が示され、承認に黄色信号がともる。

 創業家・内藤家3代目である晴夫CEOの体制では、認知症とがんに特化した製薬会社に方向転換をしたことで、売上高を7000億円規模にまで拡大させることに成功した。99年から販売を開始した認知症治療薬のアリセプトの成功が同社の成長を支え、現在では抗がん剤のレンビマがおよそ全体の4割の売り上げを占める稼ぎ頭だ。ところが26年にはレンビマの特許が切れ、アリセプトに代わって「30年代に売上高1兆円」となるはずだったレケンビが振るわない。

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