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NHK、旧ジャニタレ起用再開のサスガ!「われわれは疑惑の風化に麻痺しすぎ、無自覚すぎではないか」(松尾潔)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月17日 14時5分

 昨年9月7日と10月2日の2回にわたり、旧ジャニーズ事務所は記者会見を開いた。初回でジュリー氏は「ジャニーズ事務所といたしましても、わたくし藤島ジュリー景子個人といたしましても、ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております」と断言した。東山紀之新社長からは「鬼畜の所業」「今後の人生をかけ、そして命をかけ、この問題に取り組んでいきます」という一世一代の大見得、じゃなかった、声明が飛びだした。

 第2回にはジュリー氏は体調不良で欠席。東山氏が、長年事務所を支える立場にあったにも拘らず性加害問題について公の場で見解を示すことなく9月に退任した白波瀬傑前副社長について「説明責任がある」と言い、次なる3回目の会見開催を半ば公言した。2回とも進行にはいろんな不備が見受けられたとはいえ、たとえジグザグ道であろうと事態が少しでも前進するならばと願った人は、ぼくを含め多かったはずだ。

 それから1年。スマイル社、ジュリー氏、福田淳社長率いるスタート社の会見はあわせてゼロ。ただの一度も開かれなかった。何ということだろう。白波瀬氏については、説明どころかその姿さえまだ公になっていない。さらに、新旧会社の分離についての情報は、スマイル社公式サイトの発表が事実上すべて。スマイル社と同社をサポートするメディアの「風化待ち」はあからさますぎやしないか。

 そしてわれわれは疑惑の風化に麻痺しすぎ、無自覚すぎではないか。性加害問題へ真っ当な怒りを表明する者が現れても、すぐに「カッカすんな」「ほっとけ」と叩く人たちがいるが、あれは何なのか。スマイル社の詭弁を指摘しようものなら「細かい」「しつこい」「冷静になれ」「寛容になれ」と、あたかも自分は達観者であるかのような〈謎の上から目線〉を披露する人びと、あれも何なんだ。去勢された家畜のボスか。

「補償=救済ではなく、“補償”と“救済”」

 今月9日、ジャニー喜多川氏からの性被害を訴えてきた志賀泰伸さん、長渡康二さん、中村一也さんが日本記者クラブで会見を開いた。旧ジャニーズ事務所が性加害を認めて1年後の思いを語るとともに、スマイル社に対して被害の全容解明と誹謗中傷対策の徹底を求める会見。ぼくは同クラブのYouTube公式チャンネルで観たが、登壇したお三方のひどく憔悴して悲痛な様子に胸苦しさを覚え、最後まで見届けるには一時停止を何度かくり返さなければならなかった。

 1年前に比べればたしかに補償は進んでいるのかもしれない。だが補償は補償、それだけで被害者が救済されたことにはならないと痛感した。この日は登壇しなかったが、これまで勇気ある告発を重ねてきた飯田恭平さんがご自身の公式Xに記した「補償=救済ではなく、“補償”と“救済”です」という意味が初めてリアルに理解できた気がする。

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