ジャニーズ性加害問題は組織犯罪。喜多川ひとりを悪魔化して属人的問題に帰することは、巨大な性犯罪の矮小化につながる【松尾潔のメロウな木曜日 拡大版】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月24日 16時3分
ジャニー喜多川氏の訃報を伝える街頭ビジョン(C)日刊ゲンダイ
【松尾潔のメロウな木曜日】#107
目前に迫った衆議院選挙について語りたいのだけど、この1週間で旧ジャニーズ児童性加害問題に関して大きな動きがあったので、まずはその話から。
前回の本連載で、先週水曜(10月16日)にNHK稲葉延雄会長が定例会見で旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ。以下スマイル社)のマネジメント業務などを引き継ぐ「STARTO ENTERTAINMENT」(以下スタート社)所属タレントの番組起用を再開する意向を明らかにしたことへの疑義を呈した。まだ時期尚早と思ったからにほかならない。
定例会見が行われたその日、2024年度は発売されなかったスタート社所属タレントの公式カレンダーが2年ぶりに復活することが、集英社やマガジンハウスなど複数の出版社のXアカウントなどから同時に発表された。つまり、この1年は「カレンダー利権」の悪評を甘んじて受け容れることでビジネスの牙を隠してきた出版業界も、テレビ最後の砦だったNHKの〈禊終了〉会見にあわせ、一斉に以前のビジネス優先丸出しなスタンスに戻したというわけである。まったく同じ日なんだもの、身も蓋もないやね。
翌日(17日)発売の週刊文春の名物連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」。ゲストに登場した少年隊・錦織一清さんの発言は大きな注目を集めた。「僕たちは犯罪者に育てられた子どもたち」はその最たるもので、当代きっての対談の名手である阿川さんの〈聞く力〉おそるべしと感じた方は多かったのでは。
読み進めながら、思わず「あっ」と声が出てしまった。理由は、錦織さんの発言のなかに突然ぼくの名前が登場したから。「松尾潔さんは適正な発言をされたんじゃないかなぁと僕は思っています」ですと。適正……このたった二文字で十分に伝わる彼の覚悟よ。鳥肌が立った。公の場でぼくの発言を「適正」と認めた初めてのジャニーズ出身現役タレント、それが錦織さんということになる。その覚悟に最大限の敬意を表しつつ、彼につづいて声をあげるタレントやミュージシャンが登場することを切に願う。
対談をさらに注意深く読み込めば、錦織さんの複雑な思いは“犯罪者”ジャニー喜多川氏のみならず、その姉であり旧ジャニーズ最高権力者だったメリー藤島氏、さらに少年隊の盟友にして現スマイルアップ社長の東山紀之氏へと向けられていることがよくわかる。
そんな話の流れで、錦織さんがメリー、森光子、東山、そして山下達郎の4氏に言及、彼らのニューヨーク旅行というネタをぶっ込んできたのもかなりの衝撃度だった。達郎さんといえば昨年自身のラジオ番組でジャニー氏やジャニーズ事務所との関係について「自分はあくまで一作曲家、楽曲の提供者」「音楽業界の片隅にいる私」と言いきったことが記憶に新しいが、錦織さんの話しぶりは「片隅」のイメージにそぐわないお大尽旅行を思わせる。となれば、達郎さんと錦織さんのいずれかが虚偽発言をしたことになるが……嘘をついて得するとしたらどっちだ?
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