2024年ドラフト「得した球団、損した球団」“流しのブルペン捕手”安倍昌彦氏が忖度なしガチ評価
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月26日 9時26分
ドラフト会議(C)日刊ゲンダイ
最も成功したのは中日です。
アマ球界ナンバーワン左腕・金丸夢斗(関大)を4球団競合の末に指名できた時点で100点満点。さらに、2位で社会人トップクラスの左腕・吉田聖弥(西濃運輸)を指名して120点。3位以下も含めると、200点のドラフトになりました。
金丸はもちろん、2位の吉田は伊万里農林高(佐賀)から2021年に西濃運輸に入社し、4年間じっくりと力を付けた。直球のアベレージは140キロ前半ながら、とにかく球質がいい。スライダー、チェンジアップと2種類の変化球はいつでもストライクが取れる。私が今まで見てきた投手の中で、成功例が非常に多いタイプです。
5位の左腕・高橋幸佑(北照高)も好素材です。横浜茅ヶ崎中の軟式野球部から北照高へ進み、3年間で体重は25キロ以上増え、ふた回りほど大きくなった。最速は148キロ。フォームのバランスが良い分、ファームで回り道することもないでしょう。178センチ、80キロの体格は、このオフ、メジャー挑戦する小笠原慎之助の東海大相模時代の背格好に似ていて、プロの食事とトレーニングで、もうひと伸び、ふた伸びできる。
4位指名の捕手・石伊雄太(日本生命)は、捕手では全体1位。肩の強さはセ・リーグでトップクラスでしょう。課題だった打撃も都市対抗で繰り返し適時打を放つなど、実戦力を身に付けた。
6位の右腕・有馬恵叶(聖カタリナ高)は今夏の甲子園に出場。ブルペンから素晴らしいボールを投げていて、大いに将来性が期待できます。
気になるのは、中日が金丸をどう起用し、育てるのかということ。金丸は大学1年から主戦として投げ続け、試合のない平日は疲労回復を優先し、あまり強化練習ができなかった。腰の故障も経験し、1年間、元気に投げ続けるだけの芯の強さはまだ備わっていない点が心配です。
巨人には物足りなさを感じた
中日のチーム事情を考慮すれば、すぐにでも一軍ローテで使いたいところでしょうが、1年間ほど強化期間を設ければ、さらに素晴らしい投手になるはずです。
一方、物足りなさを感じたのは巨人です。
1巡目に金丸をくじ引きで外すと、高校生遊撃手の石塚裕惺(花咲徳栄高)を外れ1位で2球団競合の末に交渉権を獲得しました。2位浦田俊輔(九産大)、3位荒巻悠(上武大)と立て続けに内野手を指名。4位に高校生右腕の石田(北星学園大付高)、5位に大学生左腕の宮原(東海大静岡)を指名し、支配下は5人で終了しました。
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