球界の重鎮・権藤博氏はむしろ「日本の投手は投げなさ過ぎ」…沢村賞また「該当者なし」で選考基準見直し案も
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月28日 20時22分
権藤博氏(C)日刊ゲンダイ
いかにも甘く、過保護でひ弱
5年ぶりの「該当者なし」となった。
28日に都内で行われた「沢村賞」の選考委員会。V9時代の巨人のエース、堀内恒夫委員長によれば、候補者としてセ最多勝の巨人・菅野智之(15勝3敗、防御率1.67)、戸郷翔征(12勝8敗、1.95)、DeNA・東克樹(13勝4敗、2.16)、パ最多勝のソフトバンク・有原航平(14勝7敗、2.36)、日本ハム・伊藤大海(14勝5敗、2.65)らの名前が挙がったというが、「帯に短しタスキに長しで、一本化することができなかった」とは堀内委員長の説明である。
沢村賞には、以下7項目の選考基準がある。
1)25登板以上
2)完投10試合以上
3)15勝以上
4)勝率6割以上
5)200投球回以上
6)150奪三振以上
7)防御率2.50以下
これをクリアした投手はおらず、戸郷が4項目を満たしたのが最多。分業制が進む昨今は特に、「10完投以上」「200投球回以上」のハードルが高く、今季もクリアした投手はセ・パでひとりもいなかった。
2019年以来6度目の「該当者なし」の判断を下さざるを得なかった堀内委員長は、「考えないといけない」と選考基準の見直しに言及したが、昨年8月の日刊ゲンダイのコラム【権藤博の奔放主義】で、1961年に沢村賞を受賞した権藤博氏は「日本の先発投手は投げなさ過ぎ」とこう寄稿している。
◇ ◇ ◇
DeNAのトレバー・バウアー(32)は笑っているのではないか。
2020年のサイ・ヤング賞投手は、3月末に来日して5月3日に一軍初登板。ここまで14試合に登板して7勝3敗、防御率2.95の好成績で優勝争いの輪の中にいるチームを牽引している。
「できるだけ多くの試合に投げ、投げる試合は最後まで投げ切りたい」
本人がそう言う通り、自ら望んで中4日のマウンドに立つこと3度。うち2試合で完投勝利を挙げている。中4日登板での成績は2勝1敗、防御率1.44と圧巻だ。
翻って日本の先発投手は、ほとんどが中6日のローテーションで回っている。メジャーでは中4日が当たり前。その一線で投げてきたバウアーの目には、いかにも甘く、過保護でひ弱に映っているに違いない。
私もそう思う。現役時代、入団3年間で175試合、1012回3分の1を投げて肩が壊れた経験から、指導者に転じて誰よりも慎重に投手の状態を見極めてきた自負がある。そんな私でも、日本の先発投手は「投げなさ過ぎ」だと思う。
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