「ホスピタリティー」が回復に欠かせないのはなぜか【正解のリハビリ、最善の介護】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月30日 9時26分
このため、患者さんの気分を良くするような声掛けや寄り添い方が大切で、そのタイミングがポイントになります。尿便失禁時の弄便や異食の対応も大変ですが、清潔と健康を保てるように優しさを持って、笑顔で対応します。せん妄・幻覚・錯覚により徘徊され、毎晩帰宅願望が強く、睡眠障害となる時も困ります。
特に夕暮れに不穏になる「夕暮れ症候群」は薬剤治療が可能なので、患者さんが興奮期に入らないように薬剤管理しつつ、少しおだてる声掛けや気分転換になる寄り添い歩きを行い、怒りやソワソワを和らげます。
BPSDに対しては、関わり方と環境調整、さらに薬剤治療の3つのアプローチで、迅速に問題行動を治療します。症状が改善しないと、職員が日に日に疲弊します。その上、患者さんは改善せず、ご家族からは「悪くなってるんじゃないの。どうしてくれるんだ」とクレームが入る場合もあります。これではホスピタリティーに必要な「相互満足」が成立しません。
治療が難しい時に、それを共感できないご家族はとても困ります。その疲弊期間が2週間以上続く場合は、他の専門病院での転院治療をお願いする判断が必要だと考えます。
また、患者さんによる夜間の卑猥な言動や、スタッフの体を触るなどのセクシュアルハラスメントも発生します。これは認知症が重症な患者さんでは見られず、ごく軽症の方に起こります。このため、迅速に患者さんにセクハラの中止をお願いします。そして、セクハラせずに一日も早く回復して、自宅退院を目指す協力を約束してもらいます。それでもセクハラが収まらない時はご家族に現状をお話しして、セクハラをやめないと治療や介護が継続できずに退院や退所になることを説明し、一緒に解決します。
行為が長引くと増悪しますので、迅速な毅然とした対応が必要です。中には、早く自宅退院したいために意図的にセクハラを続ける患者さんもおられます。このため、ご家族の協力が必須になります。
こうしたホスピタリティーあふれる私たちの人間回復の医療介護が、地域住民の皆さんに信頼されること自体が地域貢献になると信じています。
(酒向正春/ねりま健育会病院院長)
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