拒食症で体重23キロに…料理研究家Mizukiさん「死ぬんだと思いました」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月11日 9時26分
料理研究家のMizukiさん(本人提供)
【独白 愉快な“病人”たち】
Mizukiさん(料理研究家/38歳)
=拒食症
◇ ◇ ◇
23歳のとき、身長162センチで体重23キロになりました。それでも私は「拒食症じゃない」と言い続けていました。今は本来の食生活に戻りましたけれど、「やると決めたらどんなことをしてでもやる」という本質的な性格は何も変わっていません。今は料理に「100」の力を注いでいるので、拒食症が入る隙間がない感じです。
事の始まりは、高校1~2年生から始まったナゾの“焦り”です。勝手に「テストで100点を取らないとダメだ」と思うようになって自分を追い詰めて、ある日の昼食時、友人たちの前で突然泣き出してしまったのです。さらにそのまま早退して、しばらく不登校気味になりました。
その後、登校できるようになったものの、テストは0点か100点しか望まなくなりました。70点を取るくらいなら0点でいいと……。
次第に食べられなくなって、病院に行くと「うつ病」と「拒食症」を併発していると言われました。「0か100か」「白か黒か」という極端な性格が拒食症の原因だと今は思っています。
体重が減り出すと、今度は体重の数字にとらわれるようになりました。テストの点数から体重を減らすことに“目標”が切り替わったんです。そしてついに体重が23キロになったとき、胃痙攣を起こし、痛くて「死ぬんだ」と思いました。日々「死にたい」と思うほどつらかったのに、そのときなぜか母に「病院に連れて行ってほしい」とお願いしたんです。
市内の一番大きな病院へ行くと、延命治療が始まりました。大量輸血と血小板の入れ替え、骨髄穿刺などの検査です。すべての臓器が壊れかけていて、顔も体も内出血状態。24時間の点滴をすると、ものすごい勢いで全身がむくみました。循環機能がなくなっていたのです。利尿剤を入れたら数日で体重が7キロ減りました。それだけの水がたまっていたのです。
その頃は認知のゆがみも大きくなっていました。「自分はおかしくない」「痩せていない」と言う病気の自分と、「本来の自分を取り戻さないと」「家族に迷惑かけている。一口でも食べないと」と思う自分が常に闘っていました。でも、いつだって病気が圧倒的に強くて「食べてはいけない」と言う自分に勝てないのです。
「料理」が自分と社会をつないでくれた
半年入院して体重が27キロに増えて、命の危機は脱したということで退院しました。でもまたすぐに体重は減り、幻覚や幻聴も始まりました。それは、自らが「助けてほしい」と言って“生きてしまった”結果です。ひどい状態でも生きてしまったからには何かしなければいけないと思い、始めたのが料理でした。
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