物忘れが目立つ…認知症を疑ったら「てんかん」のチェックも
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月27日 9時26分
高齢者は少量の薬で効果が出やすい(C)日刊ゲンダイ
脳神経の病気である「てんかん」は、認知症と間違えて診断され、適切な治療を受けられていない人も少なくない。今年8月、部分発作を適応とする抗てんかん薬が8年ぶりに発売されたが、これを機に、てんかんがどういうものかを知っておきたい。
てんかんは、あらゆる年齢で、すべての人に発症する可能性のある病気だ。自治医科大学付属病院院長・脳神経外科教授の川合謙介医師は「てんかんは最もありふれた神経学的疾患のひとつ。この帰り道、あなたが突然てんかんを発症してもおかしくない」と話す。
「過去に警察庁と共同で大規模調査した結果では、てんかんで交通事故を起こしたケースの3分の1は、それまでてんかんと診断されておらず、事故を起こしててんかんが判明した方でした」(川合謙介医師=以下同)
てんかん患者でなくても、今後もそうだとは言い切れない。他人事にできない病気とも言える。
てんかん発作は、脳内の神経細胞が何らかの原因で一斉に強い電気を出し、脳の機能が乱れ、情報の受け取り・命令・体の動きのコントロールができなくなって起こる。
「てんかん発作は脳神経細胞の制御不能な発火であり、それを繰り返し起こしやすくなる状態がてんかんです」
あらゆる年齢で発症するが、発症年齢で多いのは子供と高齢者だ。生後から思春期くらいまでの年代で発症する場合は先天性が多いのに対して、高齢者では脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病など脳神経の病気の発症に伴って多くなる。
日本での久山町研究では、65歳以上のてんかん発症の要因の半数以上を脳血管疾患が占めていた。
また、国際多施設共同前向きコホート研究では、脳卒中(脳出血や脳梗塞など)発症1年後のてんかん発症リスクは、脳出血の場合20%、脳梗塞の場合14%と報告されている。ただ、原因不明のてんかんも多い。
高齢者のてんかんはほかの病気と間違えられやすく、適切な診断に至っていないケースもある。
「中でも、認知症だと思って諦めていたら実はてんかんだったというケースが少なくありません。しかしてんかんは治療法があり、適切な治療でコントロールすることができます。特に高齢者では少量の薬でも効果があります。早く発見し、治療を開始することが必要です」
てんかん発作は通常長くても数分で治る。しかし、発作が長く続くか、短い発作でも反復し、その間の意識がない「てんかん重積状態」と呼ばれるものがある。このてんかん重積発作の発症率が高齢者では高い。
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