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八角は「脾」と「腎」を温めて冷えによる腹痛に威力を発揮してくれる【健康長寿に役立つ高齢薬膳】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月30日 9時26分

八角は「脾」と「腎」を温めて冷えによる腹痛に威力を発揮してくれる【健康長寿に役立つ高齢薬膳】

カボチャとネギのオリエンタルスープ(提供写真)

【健康長寿に役立つ高齢薬膳】八角

 最近、お腹が痛くなったり下痢することが多い……。寒さがつのり始め、お腹の冷えからくるトラブルが増えやすい時期です。

 寒暖差の影響を受けると、自律神経が乱れて胃酸が過剰に分泌され、胃の粘膜を刺激することで胃痛が起きやすくなります。また、腹部の冷えは胃腸の血管を収縮させ、消化器の働きが低下します。そのため食べたものの消化が滞り、下痢を引き起こす原因になってしまうのです。

 「内蔵型冷え性」の場合もお腹にトラブルが現れがちです。内蔵型冷え性とは、手足は温かいのに身体の中が冷える症状です。ストレス、不規則な生活、身体を冷やす食べ物を多く摂取している、運動習慣がないなどが原因になるケースが多く、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなることが冷えを引き起こします。具体的には、副交感神経が強く交感神経が弱いために、身体の外に熱が過剰に放出されて体内の温度が低下するのです。

 シニアの場合は、加齢による自律神経のバランスの低下、筋肉量の不足や臓器機能の衰えによって熱を発することが難しくなるため内蔵型冷え性になるリスクも上がります。

 慢性的にお腹が冷えた状態が続くと、痛みのトラブルばかりか、免疫の要ともいえる腸の冷えによって、風邪をはじめとした感染症やアレルギー症状を引き起こす可能性も高まります。早めに改善を図ることが大切です。

 中医学では、腹部の冷えによる痛みや下痢は、消化をつかさどる臓器「脾」の働きが弱り、飲食物を消化する機能と熱を生み出す力が弱くなっている状態と考えます。冷えによって人間のエネルギー源である「気」や、栄養分である「血」の流れが滞ることで、お腹に痛みが現れるのです。また、疲れやすく、むくみや下痢、お腹がすくと胃が痛くなるといった特徴もあります。

 シニアの場合は、老化をつかさどる臓器「腎」の冷えも伴うケースが多くみられます。

 改善のためには、脾や腎を温める食材を取り入れましょう。おすすめは八角。中華料理によく使われ、豚の角煮や北京ダック、魯肉飯などでおなじみの独特の甘くスパイシーな香りが特徴のスパイスです。星の形をしていることから、「スターアニス」の名前でも知られています。

 八角は「大茴香(トウシキミ)」の名前で身体を温める生薬として用いられるほど、冷え改善効果が絶大。脾や腎を温めるとともに、痛みを解消する作用があり、冷えによる腹痛や下痢、腰痛などに威力を発揮します。 煮物や鍋ものに入れると、本格中華のような味わいとともに身体をポカポカにする薬膳が完成します。紅茶や温めた赤ワインに入れても、香り高く美味しいホットドリンクになります。冬場はぜひ積極的に取り入れてみましょう。

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