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大人にも増えている「重症喘息」の切り札となる治療薬

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月30日 9時26分

大人にも増えている「重症喘息」の切り札となる治療薬

喘息はすべての年代で発症する可能性がある

 激しい咳が続き、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴や息苦しさが起こる「気管支喘息」。患者数は全世界で約3億人と推定され、日本国内だけでも800万人以上とされている。子供の病気と思われがちだが、それは間違いだ。

  ◇  ◇  ◇

「大人の喘息が増えています。当院でも毎日60~80人の患者さんを見ていますが、そのうち9割を占めるのが成人喘息です」

 こう話すのは、池袋大谷クリニック・大谷義夫院長。

 そもそも気管支喘息(以下=喘息)とは、気管支に慢性的な炎症が起こり、花粉やダニといったアレルゲンの侵入によって気道が狭まり、咳や喘鳴、呼吸困難を繰り返す慢性疾患だ。

「『喘息予防・管理ガイドライン2024』を見ると、国内における成人喘息の割合は、1960年代時点で1%前後だったのに対し、2000年代初頭までに6~10%に上昇しているとの記載があります」

 成人喘息にはいくつかのパターンがある。①小児で発症してそのまま成人喘息に移行②思春期までに改善したものの成人後に再発③小児喘息がなく成人で初めて発症──の3つで、喘息はすべての年代で発症する可能性があるという。

 再発に限らず、喘息のリスクになりやすいのが風邪だ。ほかにも、気圧や寒暖差といった天候、ホコリ、疲労やストレスのほか、たばこやアルコール、妊娠などの関連が指摘されている。

「気道の炎症を抑える『吸入ステロイド』の登場で、喘息はコントロールできる時代になりました。近年は、吸入ステロイドに気管支拡張作用がある『長時間作用性β2刺激薬』が含まれた配合薬が主流になりつつあります。これらの治療薬により、70年代後半に年間6000人だった喘息死者数は、現在、1000人にまで大幅に減少しています。ただ、喘息患者の約5~10%は、高用量の吸入ステロイド薬を使用しても症状が安定しない『重症喘息』とされています。そこで切り札となるのが生物学的製剤です」

■80代後半で呼吸苦から解放されたケースも

 09年に国内で初めて重症喘息に対する「オマリズマブ(商品名ゾレア)」が登場。現在は、計5種類の生物学的製剤が認められている。いずれも喘息症状を抑えるといった効果は同じだが、治療薬ごとに作用するメカニズムは異なる。

 その指標となるのが、主に免疫細胞である「好酸球」や、アレルギー反応を引き起こす「IgE抗体」、呼気中の「一酸化窒素(NO)」の値だ。

「IgEが高値の場合には、『オマリズマブ』が選択されます。これは喘息のもととなるアレルギー反応を抑える効果があり、最近では重症花粉症にも適用されています。好酸球の値が高ければ、好酸球の分化や活性化に関わるIL-5の働きを抑える『メポリズマブ(商品名ヌーカラ)』や、『ベンラリズマブ(商品名ファセンラ)』が有効です。また、前者に比べて好酸球もIgEもそこまで高値ではない場合は、炎症反応に関わるIL-4とIL-13の働きを抑える『デュピルマブ(商品名デュピクセント)』が有効です」

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