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関節可動域が認知機能を維持するために重要なのはなぜか【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月18日 9時26分

関節可動域が認知機能を維持するために重要なのはなぜか【正解のリハビリ、最善の介護】

ねりま健育会病院の酒向正春院長(C)日刊ゲンダイ

【正解のリハビリ、最善の介護】#59

「50歳頃から体が硬くなってきて、電車に乗っているときなどバランスが悪くなってきました。どうなってしまうのでしょうか?」

 50歳以降、われわれの体は確実に衰えていきます。しかし、せっかくの人生です。健康で、楽しく、気持ちよく生きていきたいものです。

 現実的には、50歳以降は筋肉量が減少し、筋力も柔軟性も低下することで、バランスが悪くなって不安定になり、運動量が落ちて体力が低下します。すると、骨萎縮も進行し、さらに身体活動量が低下することで、孤立が生じて認知機能が急速に低下していきます。

 現在、日本人の死亡人数が多いのは、男性が88歳、女性では93歳です。人生100年時代は現実になっています。そのような時代に95歳まで気持ちよく生きたいと考えるなら、介護にならない心身を保つことが日本人の必要条件になっているといえます。

 これまで、「酒向メソッド」として筋肉と筋力を強化する方法についてはお話ししました。たとえ90歳でも、筋肉は増加して筋力も強化できます。では、筋肉量を増やすにはどれくらいの強度を目安にすればいいかというと、筋肉増強には「筋肉痛が生じる負荷量」が必要になります。

 筋力トレーニングを行った際に筋肉痛が生じない程度のトレーニングでは筋肉量は増えません。だからといって、痛くて動けなくなるほどの筋力トレーニングは本末転倒で、続けられません。ですから、「少し筋肉に心地よい痛みが残る」と感じる負荷量が適切なのです。

 トレーニング後に筋肉痛が出たら、「その筋肉は成長しているのだ」という“科学”を理解できると、継続して筋肉量を増やすトレーニングを楽しむことができます。

 継続は力なり。自分のボディーは90歳でも好きなように変えることができるのです。

■低下してもトレーニングで回復できる

 次は「柔軟性」についてお話しします。柔軟性というのは、関節の可動域を指します。関節可動域とは、関節が動くときや運動を行うときの生理的な運動範囲や角度のことです。たとえば、肩関節では屈曲伸展、外転内転、外旋内旋を評価します。股関節でも屈曲伸展、外転内転、外旋内旋を評価します。膝関節は屈曲伸展、足関節は底屈背屈、脊椎は屈曲伸展を評価します。

 50歳まではこれらがほぼ正常域に保たれています。しかし、50歳以降は徐々に正常可動域が低下していき、動きがぎこちなくなり、「柔軟性がなくなった」と言われるようになります。

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