インフル感染は重症化リスク…糖尿病とその予備群は「口腔ケア」に要注意
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月9日 9時26分
口腔ケアで口腔細菌数を減少させる
インフルエンザ感染は糖尿病患者やその予備群の命を危険にさらす。そのメカニズムと予防法などを糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に聞いた。
◇ ◇ ◇
インフルエンザが流行している。感染症発生動向調査週報第50週(12月9~15日)の全国約5000カ所ある定点医療機関数の1定点当たりの報告数は19.06件。昨年同期の29.94件より少ないが、新型コロナ流行前の2019年第50週の15.62件を上回った。
「昨年は流行の始まりが10月でしたが、今年は遅い。今後、流行拡大するかもしれません」
そもそもヒトインフルエンザは、トリの消化器感染がヒトの呼吸器に感染したことが始まりで、紀元前412年、ギリシャの内科医・ヒポクラテスの時代に記録がある。その後400年に約30回の大流行があった。いまも毎年、世界の成人の約5~10%、子供の20~30%が発症する世界的な感染症だ。
ただし、ヒトとインフルエンザウイルスは共生関係にあり、インフルエンザウイルスが宿主であるヒトを圧倒的病原性で殺すことは基本的にない。
例外は免疫系が未発達な乳幼児や、低下している高齢者、あるいは慢性疾患のある人で、インフルエンザが重症化するか命に関わる合併症を発症するリスクが高くなる。
「慢性疾患では糖尿病が要注意です。インフルエンザが入院や超過死亡をアップさせることがわかっています。2000~08年にかけてインフルエンザ発症や、それによる入院リスクなどについて65歳未満の人について調べたカナダの大規模研究では、糖尿病の人は入院が6%多かったのです」
また、1961~74年のインフルエンザ流行期における糖尿病の超過死亡を調べた日本人研究者の論文では、14年間中7回流行し、うち3回は糖尿病の超過死亡が有意に認められ、1回はほぼ有意だった。同様の研究結果は世界中で報告されている。
■唾液量を増やす工夫を
では、インフルエンザ流行期に糖尿病の人は何に注意をしたらいいのか?
「まず人混みを避けること。インフルエンザ患者や感染者の咳や痰、鼻水などにはインフルエンザウイルスが含まれていて、その主な感染経路は飛沫、接触感染です。飛沫は1~2メートル飛ぶので、直接顔に飛沫が飛ばない角度、距離で会話をしましょう」
人は自覚なく手で顔や目、鼻を触る。接触感染しないよう、まめな手洗いも必要だ。
免疫力のない子供のおもちゃや、高齢者と共用するテーブルなどを塩素系消毒薬や70%以上の濃度のアルコールで拭くのもいい。ただし、物に付着したウイルスは2~8時間で人への感染力を失う。神経質になる必要はない。
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