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永野は「お笑い界の反逆者」だ トークでまさかの再ブレークを果たした(ラリー遠田/お笑い評論家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分

永野は「お笑い界の反逆者」だ トークでまさかの再ブレークを果たした(ラリー遠田/お笑い評論家)

永野(C)日刊ゲンダイ

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「孤高のカルト芸人」の異名をとるピン芸人の永野は、2015年ごろに「ゴッホより普通にラッセンが好き」と歌って踊るネタで大ブレークを果たした。ただ、その後はテレビに出る機会も少しずつ減っていき、世間からは忘れられた存在になっていた。

 しかし、そんな彼が最近、まさかの再ブレークを果たした。最初のブレークのときには1つのネタだけで注目されていて「一発屋芸人」のような扱いを受けていたが、今ではしゃべりの面白さが評価されていて、トーク番組などの仕事が増えている。

 レギュラー番組の「永野&くるまのひっかかりニーチェ」をはじめとして、テレビ、ラジオ、YouTubeなど幅広いメディアで活躍を続けている。今の永野は、正確には再ブレークしているというよりも、実力が評価されて地に足のついた活動を行っているという印象が強い。

 彼の人気に再度火がつくきっかけとなったのは、数年前にYouTubeを始めたことだった。

 もともとパーソナルな部分をあまり表に出したがらないタイプだったのだが、ここで自分が好きな洋楽や映画の話をしたところ、それが面白いと評判になった。ここで初めて、謎めいた芸風の彼の文化的な一面にスポットが当たるようになった。

 それと並行して、さまざまな配信ライブや配信系のコンテンツで永野があらゆるものに噛みついていく話芸を披露したことが業界内で評判になり、少しずつテレビやラジオにも出るようになった。

 永野の笑いの根底には「人間としての面白さ」がある。普通の芸人の面白さは、しゃべりのうまさ、発想力、ネタの構成力のような技術的な部分にある。

 一方、永野はありのままの自分として言葉を放ち、ネタを演じる。人間そのものが面白くて魅力的な存在なので目が離せなくなる。

 手当たり次第に毒をまき散らすようなトークを展開する永野は、決して誰からも好かれるような存在ではない。テレビの収録中に激高した陣内智則に襲われたこともあるし、事務所の人間からも何度も叱られているという。

 それでも彼は歩みを止めることはなく、自分の生き方を貫いている。ロックをこよなく愛する彼は、反逆者の精神を忘れないお笑い界のロックスターである。(つづく)

(ラリー遠田/お笑い評論家)

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