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ダル所属のパドレスで骨肉の争いが勃発…オーナー家の内紛は球団売却の前兆(友成那智)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分

ダル所属のパドレスで骨肉の争いが勃発…オーナー家の内紛は球団売却の前兆(友成那智)

元パドレス・オーナーの故ピーター・サイドラー氏(C)K. C. Alfred/San Diego U-T via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

【メジャーリーグ通信】

 ダルビッシュが所属するパドレスでオーナー家の内紛が勃発した。故ピーター・サイドラー元オーナーの未亡人シールさんが、経営権を引き継いだ元オーナーの弟ジョン氏と、もう一人の弟マット氏を、故人の遺志に反して経営権を奪ったとして告訴したのだ。これにより、パドレスは今オフ、補強が全くできない状態が続いており、佐々木朗希の争奪戦でも有力候補とみられていたのに後退してしまった。

 オーナー死去後の肉親間の醜い争いはオリオールズでも起きている。こちらは亡くなったピーター・アンジェロス・オーナーの次男ルイス氏が、経営権を継承した兄のジョン氏と兄のサイドに立つ母ジョージアさんを告訴。「兄は球団の資産から6500万ドルを引き出した」「球団を他都市に移転しようとしている」と言い放って真っ向から対立した。結局、8カ月争ったあと和解し、球団を売却して、その金を分け合うことになった。この争いはオーナーだった父親が健康を害して統治能力を失った2010年代の後半から続いていたため、オリオールズはまともな補強をできない状態が続き、年俸総額が30球団中最下位になってしまった。

 オーナー夫妻の醜い離婚騒動が、名門球団の売却に発展したケースもある。

 ドジャースは不動産業で財を成したフランク・マッコート氏が04年に買収に成功した。それと同時に、弁護士資格を持つ妻ジェイミー氏を球団のCEОに据え、ボディーガードまでつけた。しかし、この配慮は裏目に出て、妻がボディーガードと不倫関係に。それを知った同オーナーは妻をCEОから解任、それに妻が反発して離婚裁判に発展した。

 カリフォルニア州の州法では離婚が成立した場合、夫は妻に全資産の半分を分与しなくてはならないという規定がある。離婚が成立すると負債を差し引いても数億ドルを支払う羽目になる。その費用を他の資産を売却して充てることは不可能だった。その頃、同オーナーは多額の負債を抱えていたからだ。ドジャースタジアム周辺の土地を買い占めていたところ、リーマン・ショックで不動産価格が暴落してしまったのだ。

 それでも、同オーナーは球団売却を求められながらも抵抗し、選手の給与の支払いをFОⅩテレビからの借入金で賄っていたが、MLBが介入し球団の売却が完了するまで、カネの出し入れを厳重に監視されることになり、監督責任者に前駐日大使でレンジャーズの元社長でもあるトム・シーヒーが任命された。ドジャースはこの期間、大型補強がやりにくくなり、11年から3年連続でポストシーズンに進出できなかった。ほぼ同じ時期にパドレスでも、オーナー夫妻の離婚がもとで球団売却が行われた。

(友成那智/スポーツライター)

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