感染症の家庭内感染を防ぐために…温度と湿度、入浴、食事はどうしたらいいのか?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
湿度は50%以上を保ちたい
家族の誰かがインフルエンザや新型コロナなどの呼吸器感染症にかかった場合、家庭内感染を防ぐために、室内環境や入浴、食事はどうしたらいいのか? 前回に続き公衆衛生が専門の岩室紳也医師に聞いた。
室内の温度や湿度については、1961年に「ウイルスの生存実験」をした研究者G・J・ハーパー氏が「インフルエンザウイルスは温度20度以上、湿度50~60%で空気中での感染力が下がる」ことをつきとめている。インフルエンザは北半球では冬場に大流行し、東南アジアでは年中低いレベルでの流行になるのはこのためと考えられる。
だからこそ、室温は20度以上、湿度は50%以上を保ちたい。湿度は加湿器を利用したり、電気ポットなどでお湯を沸かしたり、湯舟にお湯または水を張った浴室のドアを開けっ放しにしたり、寝室に濡れたタオルを干すなどで対策するといい。
逆にインフルエンザウイルスが生存しやすいのは温度が10~20度、湿度20%で、衣類などの凹凸のあるものに付着すると8~12時間、マスクやティッシュで約12時間、金属表面などでは4日間で不活化するという。
トイレの蓋は閉めてから水を流すのが良いとされる。しかし最近、閉めた蓋の横から噴射するエアロゾルの影響で、蓋をしない場合とトイレの汚染レベルに差はないとの米国の研究が発表されている。だからといって、この問題に最終結論が出たわけではない。現時点では蓋を閉めて水を流すことを習慣付けるのがいいと岩室医師は言う。
発症者の入浴は体温が38度以上の高熱や全身倦怠感、ふらつき、下痢や嘔吐がある場合を除き、ぬるま湯の湯船に短時間入るのは問題ない。ただし、入浴前後に水分をしっかり補給する必要がある。湯冷めはNG。入浴後はしっかり体を拭いて暖かい服装に着替え、そのまま就寝するといい。
「よく、発症中の子供と一緒に入浴したり、発症した大人の後に入浴すると感染リスクが高まるのか?という質問を受けますが、お風呂では換気扇を回していれば一定程度の空気の流れがあり、体や髪の毛に着いたウイルスは流されているので感染はほぼ心配ありません」
発症者以外の家族は帰宅後すぐに入浴するのもいい。
「私自身、習慣にしています。ウイルスや細菌対策にもなるので心がけています」
また、「発症者は厚着して汗をたくさん出せば治りが早い」という話もあるが、汗は解熱しているときに出るのであって、汗をかくから早く治るわけではない。発熱していて手足が冷たい場合は厚着する必要があるが、それ以外は本人が過ごしやすい服装をするのが望ましい。
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