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COPDがある糖尿病患者はどう治療すべきか【既往症・持病持ちの治療】#4

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月16日 9時26分

COPDがある糖尿病患者はどう治療すべきか【既往症・持病持ちの治療】#4

COPDと2型糖尿病は密接な関係が…

【既往症・持病持ちの治療】#4

「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」は、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気をまとめてひとつの呼び名としたもの。長期間の喫煙や大気汚染下の生活などで有害な物質を吸入することで肺を中心に全身炎症を起こす。肺がんや虚血性心疾患など多くの全身疾患と関連し、2型糖尿病もそのひとつだ。日本ではCOPD患者の16%が2型糖尿病を発症し、2型糖尿病患者の10%にCOPDが認められたとの報告もある。治療はどうなるのか? 糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に話を聞いた。

「COPDは、有害物質が気管支を通過するときに末梢気道や肺胞(肺の中で吸った酸素と体内の二酸化炭素をガス交換する組織)壁の破壊が複合的に起こることで発症します。この修復のために自然免疫の主役である好中球やマクロファージなどが集まり、炎症性サイトカインが分泌される。COPDで糖尿病になりやすいのは、それが血液を通じて肝臓や筋肉などの臓器に送られ、インスリン抵抗性が生まれるからです」

 有害物質はインスリンの機能を正常に戻したり、動脈硬化を防ぐ脂肪細胞分泌の「アディポネクチン」の働きを阻害する。結果、インスリン抵抗性がさらに増し、糖代謝を悪化させる。

 COPDが厄介なのは、重症化しない限り一般的な胸部X線検査では検出されにくく、呼吸機能検査(スパイロメトリー)でしかわからないケースがあることだ。

 2001年発表の大規模疫学研究では、日本人の40歳以上のCOPD有病率は8.6%、約530万人と推定されている。一方で、2017年の厚労省患者調査での患者数は約22万人。つまり、相当数がCOPDと気づいていないか、正しく診断されていない可能性がある。

「問題は、高血糖は酸化ストレスを加速させ、全身性炎症を悪化させ、肺機能を損傷させる悪循環に陥ること。両方の疾患を同時に治療しなければ、症状の悪化や入院の頻度が高まるのです」

 ところが一般的な2型糖尿病は肥満タイプが多く運動と食事と薬で血糖コントロールできるが、酸素を得るための安静時エネルギー消費量が大きいCOPDはやせ形が多い。

「そのため食事療法による血糖値抑制も簡単ではありません。運動も息切れの強いCOPDであれば難しい。治療は薬物中心となります」

■早期のインスリン強化療法もひとつの手

 では、どのような薬を選ぶべきか?

 例えば安く、評価が安定しているメトホルミンは2型糖尿病の第1選択薬だ。

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