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心臓のあたりが痛い…大概は「逆流性食道炎」【心臓外科医が教える患者のための基礎知識】#3

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月17日 9時26分

心臓のあたりが痛い…大概は「逆流性食道炎」【心臓外科医が教える患者のための基礎知識】#3

写真はイメージ

「心臓病が心配です!」と言って患者さんが受診してきます。

 どうして心臓病が心配なのか、その根拠を聞くと「心臓のあたりが痛いです」。

 なるほど、それは心臓病が原因かも知れません。しかし、大概は逆流性食道炎という状態です。酸性度の強い胃液がときおり逆流して食道に流れ込んでしまうと、息苦しい感覚に襲われたり、みぞおちや背中、左乳首の上あたりにキリキリとした痛みを感じてしまうことがあります。通称、ガード(GERD)と呼ばれています。

 こんなふうに、心臓病かも知れない、という症状を引き起こすのは、逆流性食道炎以外にも胆石症、気胸などたくさんあります。いろいろと可能性があるので「犯人捜し」は簡単ではありません。胃カメラでのぞいても、あまり情報は得られません。逆流性食道炎が起こっていても、胃カメラで観察しても胃や食道の粘膜が「これはヒドイ!」となっているとは限らないのです。

 まずは胃酸を抑える薬を飲んで様子を見ます。心臓病の治療を受けるつもりで来た患者さんに、胃や食道、胆のう、肺といった他の臓器の病気も疑う必要があるのです。

 というわけで、胸が痛いからといって狭心症とは限らない、という、いかにも医者が上から目線で「こんな話があるから、みんなに教えてやるぞ!」という、あるあるの医者ばなしでしたが、今回のお話はここからが本論です。

「胸がときどき痛いんです!」という患者さんに、こんなふうに説明するのですが、頑として理解いただけないことがあります。

「理論的な裏付けなく信じ込んでしまった理屈を、他人が理詰めで説明しても理解しない」とは、「ガリバー旅行記」の作者ジョナサン・スウィフトの言葉です。

 皆さんも今までの人生でそういう「理屈抜き」の頑固な考えの人が立ちはだかった経験がおありでしょう。詐欺師は巧みにそんなところをかぎつけてだましにかかります。

「検査なんかしなくてもお医者さんなら診断がつくでしょう」と検査をかたくなに拒否する人などいっぱいいます。「効かない薬なんてあるんですか?」と患者さんに言われることもあります。私にとって世の中は効かない薬だらけなんですが。

 先日、40歳ぐらいの男性が同年代の女性に付き添ってもらって来院して、「肺が悪いと小さいときから言われて薬をもらっています。最近、息が苦しいんですが、どうしてですか? 肺の病気と関係があるんですか? 心臓は大丈夫なんで調べてもらわなくて結構です」と言われました。

 私は一瞬、わが身の危険を感じました。もう医者をやめようかな、とも思いました。

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