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石破首相が「賃上げに強い意欲」も実現は望み薄…企業内部留保と労働分配率で一目瞭然

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月17日 16時3分

石破首相が「賃上げに強い意欲」も実現は望み薄…企業内部留保と労働分配率で一目瞭然

国民生活を見て!(C)日刊ゲンダイ

《ピントがずれているんだよな》《庶民の生活をもっと見て!》

 SNS上では怒りと呆れた声が目立つよう。政府が16日に首相官邸で開いた、岐阜や岡山、熊本県などの中小企業経営者らとの車座対話で石破茂首相(67)が発した言動についてだ。

 車座対話は賃上げや経営状況の動向を探る狙いで実施。石破首相は「日本経済全体の活力向上、地方創生を優先課題としています。『雇用は守るから、賃金は上がらなくても勘弁してね』ということはもうやめましょう」などと発言。「価格転嫁を阻害する商習慣を一掃する」とも言い、価格転嫁や取引の適正化を図るための「下請け法」の改正案を24日召集の通常国会に提出する考えなどを示したという。

「東京商工リサーチ」によると、2024年の倒産件数は1万6件で前年比15%増。13年以来、11年ぶりに1万件を突破した。円安による資源高、物価高に加え、新型コロナ禍の際に受けた融資の返済が本格化したことなどにより、中小零細企業の経営環境が一気に悪化したためだ。

 石破首相は政府が賃上げに向けた強い意欲を示すことで、中小零細企業の利益を確保したいと考えているようだが、大企業や元請け企業が「はい分かりました」と応じる見込みは限定的だろう。

■企業内部留保は12年連続で過去最高更新、労働分配率は過去最低

 財務省の法人企業統計調査によると、利益から税金や配当を差し引いた「内部留保(利益剰余金)」は2023年度末に600兆9857億円となり、初めて600兆円を突破。12年連続で過去最高を更新したにもかかわらず、人件費は1990年代半ば以降、200兆円前後で推移。企業の利益などが賃金に回る割合を示す労働分配率(23年度)は38.1%と過去最低だったからだ。

 つまり、政府がどれだけ企業側に賃上げを求めても効果は見込めない。ならば、石破政権が打つべき有効な手段はたった一つ。消費税を含む減税や社会保険料の負担軽減だろう。

 所得税、住民税、固定資産税、厚生年金・雇用の両保険料や介護保険料……。これらの税金や社会保険料の負担が所得に占める割合を示した「国民負担率」は2024年度で45.1%。ざっくり言って収入の半分強しか自由に使えないわけで、そこにガソリン高などが加われば、国民の暮らしが良くなるはずもない。

 日本は4年連続で一般会計の税収が70兆円を上回り、24年度は73.4兆円。25年度も70兆円台後半が見込まれているといい、6年連続で過去最高を更新する見通しだから、今こそ「異次元の減税・社会保険料の負担軽減」に取り組むべきではないか。

「高き屋に登りて見れば煙立つ民のかまどは賑ひにけり」

 食事時にもかかわらず炊煙が上がっていない人家を見た仁徳天皇が「以後3年間、租税や労役を免除しなさい」と命じ、3年後、高い山から人家を眺めると煙が立っていたーーという物語「民のかまど(竈)」だ。それぐらい思い切ったことをしなければ、石破首相が掲げる「日本経済全体の活力向上」「地方創生」は難しいのではないか。

  ◇  ◇  ◇

 24日召集の通常国会。石破政権はどう動くのか。●関連記事【もっと読む】で《石破首相が言及「衆参W選挙」は無理筋…自民は深刻な“金欠”、身内からも「やめてくれ」の声》【さらに読む】で《国民民主×維新で繰り返される醜悪な綱引き…だから石破首相は妙に余裕シャクシャク》を取り上げている。

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